ぷよねこ減量日記 since 2016

結果が、最初の思惑通りにならなくても、そこで過ごした時間は確実に存在する。そして最後に意味をもつのは、結果ではなく、過ごしてしまった、かけがいのないその時間 である。 (星野道夫)

2022/07/07 (木) スタンダードブックストアで一時間

映画をパスして、以前から行きたかったスタンダードブックストアへ行く。

心斎橋店も、梅田の店も閉店してしまって残念だったが、天王寺にオープンしたのだ。

天王寺駅から四天王寺方面へ歩く。

谷町筋に面したところにある一階がカフェ(バー)、2階がブックストアになっていた。

カフェの中にある階段を上がる。

書店スペースはそれほど広くないが、本揃えは以前と変わらず独特で愉しい。

他では見たことのない本、写真集、古本、ミニコミ、自主出版…。

学生の頃、こういう出版された本を見て思ったのは、将来、自分にもこんな本を出せるようになりたいな、ということと、こういう書店に置いてある本を出す人は、本が売れて稼ぎがあって生活に困ることなんてないのだろうな、と深く考えずに思いこんでいた。後になって知ったのは、本を出してお金持ちになれる人はほんの一部のベストセラー作家か大学教授のような文化人や趣味に時間と金をかけられるもともとのお金持ちくらいだということ。そういう現実だ。マイナーな出版社から出ている本を立ち読みしながら、この本を書いた人は何をして食べているのだろうと思いながら読むのは淋しいなとも。

 

平日の午後3時過ぎ、カフェも空いてて居心地良さげ。

タコライスやホットドッグでビールもいい。

一冊ずつ手に取って一頁くらい読む。

それを10冊繰り返すとあっという間に半時間が経っている。

京都の恵文社とスタンダードブッストアでは軽く1時間は過ごせる。

メジャーリーグのスタジアムばかり撮った写真家のささやかな個展の展示がある。

一角に懐かしい本があって手にとってページを開く。

片岡義男の「海まで100マイル」、ブローディガンの「アメリカの鱒釣り」、ショーの「夏服を着た女たち」…

欲しいなと思うが、もう手元になくてもいいとも思う。。

読み返したり、回想する時間はもうたくさんは残っていない。

 

店に低い音で音楽が流れている。

エルトン・ジョンのダニエル。

懐かしい。

この歌を番組で使ったことを思い出す。

そのころを思うと目頭が熱くなる。

もう一曲、ジャニス・ジョップリンの「ミー・サンド・ボギーマギー」が流れる。

もう一曲、もう一曲分だけここにいよう。

 

スタンドそのだ、2階は台風飯店

 

スタンダードブックストアに来る前、天王寺駅北の横町で昼酒を飲む。

スタンドそのだの立ち吞み店を覗くと空いていて、5時まではドリンクが200円だった。

カウンターの端っこ。

ペールエール(200円)とレバカツ(250円)を注文する。

ソースの滲みたレバカツはビールに合う。

飲んでいると「いらっしゃい!」と店員の声。

のれんから七十か八十年配の爺さまが顔を覗かせた。

歩みは牛のよう。

声を掛けられてからたっぷり2分ほどかけてカウンターにたどり着く。

「生とポテトサラダ!」とおおきな声で注文した。

身体も声も大きな爺さまだ。

「ちょっと〇〇で飲んできた」とハシゴ酒のようだ。

ビールに続き、「芋水ロック!」と注文。

僕が二杯目のレモンサワーを飲みながら爺さまを見るとすでに芋水が追加されていた。

「わし、これ何杯目?」と店員の兄ちゃんに聞く。

「これでビールと芋焼酎2杯です。」

「そうか、ほな芋水もう一杯!」

お達者でんな。

僕もラム串を2本追加する。

しめて1030円でした。

 

夏の午後、客は僕と爺さまと一人のみの眼鏡女子だけ。

スタンダードブックストアや恵文社は居心地のいい空間。

今日のこの店も居心地がいい。

そういうときのもう一杯はいいものだ。

居心地の良さは料理の旨さに勝る条件だと思う。

一杯飲んで居心地が悪ければ、それで出た方がいい。

でも、いくら居心地が良くても二杯にしておくのが賢明。

さて、銭湯で一風呂浴びるか。

 

天王寺駅前、この闇市感がたまらない。

種よしも独酌向き、この東アジア的なビジュアルは最高です。