ぷよねこ減量日記 since 2016

結果が、最初の思惑通りにならなくても、そこで過ごした時間は確実に存在する。そして最後に意味をもつのは、結果ではなく、過ごしてしまった、かけがいのないその時間 である。 (星野道夫)

「木曽は山の中」〜 こころの琴線を揺らす早春賦 〜

木曽福島駅に松本行きの普通列車が入る。

晩秋、11月19日に木曽を訪れた。

木曽福島までは特急しなの、普通に乗り換え、中山道の宿場町 奈良井宿を歩いた。

木曽十一宿のひとつで「奈良井千軒」と呼ばれた大きな宿場町。

中山道最高所の宿で、難所の鳥居峠(1197m)を越える前、

京都へ向かう旅人たちはここで一泊して身体を休めたという。

宿が多く奈良井千軒といわれた。

時代劇のセットのような街並が1キロ以上続く。

おりしも日曜日のお昼前、インバウンドのツーリストたちと家族連れで宿場は賑わっていた。

 

奈良井宿にて。手前のグループは南から鳥居峠を越えて来たのだろうか。

 

旅の記録は別投稿とすることにして、木曽と聞いて口をついて出てきた歌のことを書く。

葛城ユキの「木曽は山の中」

 

葛城ユキといえばハスキーボイスの女性ロックヴォーカリストのイメージだろう。

ヒロも「ボヘミアン」は知ってても、この「木曽は山の中」は知らなかった。

1974年にヤマハのポプコンで最優秀賞に輝いた。

当時流行っていた歌謡フォークソングというジャンルだろうか。

葛城ユキ本人はフォークソングなんて大嫌いで、「木曽は…」をいやいや録音したと聞く。

そんな本人には申し訳ないが僕は「ボヘミアン」なんかよりこの「木曽は山の中」が好きだった。

当時、愛知県に住む高校生、レコードは買わなかったがラジオやテレビで何度も聴いた。

歌い出しのメロディーラインと歌詞が妙に合致して、今でも心の琴線を揺らすのだ。

大学生になって後追いで60年代から70年代(当時でいえば同時代)の洋楽や、モダンジャズに夢中になったが、

その前はフォーク、歌謡曲が好きな地方の高校生だった。

 

春が来ました お風呂場の窓の外の 

遠くに見えるあれは恵那の山か 淡雪がやけに目にしみて

 

この歌いだしの旋律と歌詞が好きだ。

イントロというのか、Aメロというのか。

木曽の宿に泊まったり、風呂に入ったことはないが、なぜか実体験の記憶として映像のみならず、

空気感や匂いを体感する。

小さな民宿のひのきの匂いのする風呂場、ちょっと熱めの湯が外気に触れて湯気を上げる。

ガラス窓を開けると早春の冷気が入る。

遠くに雪を残した山が見える。

 

木曽の地名や季節を感じさせる箇所もある。

きのう馬籠で 桜のつぼみふくれ 今日はスミレの花が風を誘う それだけのことがうれしくて

主人公がバスで行く街は名古屋だろうか。

春が来ました 真新しいバスの駅に 明日はひとつ街へでてみようか なにかしら胸が痛むから

有名なのはサビの “ 木曾は山の中です 誰も来やしません  だからあなたに会いたくて熱くなるのです ”だけど、ここはどうでもいい。(笑)

思えば、僕は派手なサビのリフレインより、静かに始まるAメロに惚れる傾向がある。

サザンの「いとしのエリー」しかり。

荒井由実の「ひこうき雲」しかり。

谷村新司、加山雄三の「サライ」しかり。

小説でもエッセイでも書き出しに一目惚れする傾向もある。

 

30分の乗り換え時間に木曽福島駅から街並を望む。 

 

木曽を歩きながら思い出した「木曽は山の中」

どうしてこの歌に惹かれるのは…よくわからない。

自分の奥底にある嗜好だとしか言えない。

心の軟弱な土壌を揺らすのだ。

やわらかく、湿ったところを。

「夜空ノムコウ」の歌詞にもある。

🎵 ぼくのこころの やらかい場所を いまでもまだ しめつける

夜空ノムコウ 川村結花 - YouTube

という感じかも。

 

木曽福島から見えた木曽山脈、霧氷がついていた。

 

「木曽は山の中」と同様に僕自身の琴線に触れるメロディーラインと曲調をもつ歌がある。

音楽的にはどこに共通点があるのかは分からない。

ただ、僕の思春期の思い出と重なり、いまでも心の軟弱土壌を揺らす。

北原謙二・・ふるさとのはなしをしよう - YouTube

尾崎紀世彦 ふたりは若かった - YouTube

ミカンが実る頃/藍美代子 - YouTube

各駅停車/猫 - YouTube

北へ/小林旭 - YouTube

ここに幸あり/大津美子 - YouTube

愛燦燦(あいさんさん)/美空ひばり - YouTube

♪ サライ/加山雄三&谷村新司 - YouTube

 

雪解け、芽吹き、別れ、旅立ち…。

直接、季節の描写はなくても早春を感じさせる。

 

[ 2023/11/24 記 ]

 

この日の行動録「ぷよねこ日々御留書」はこちら。

otomegaki.hatenablog.jp