【 12.28 日録 】
昼前の台所からジュージューと音がする。
香りつられて見に行くとヒロが小さな鉄製のフライパンで叉焼を作っていた。
色と香りと音だけで、これは旨いとわかる。
なんでも立派な豚のブロック肉が安かったので叉焼を作ろうと思わず買った。
ブロックそのままで焼き始めたが、大きくて中まで火が通るか心配になり、
結局4つに切り分けたと少し残念そうに言う。
きょうは終日自宅周辺で過ごす。
やることはあるが、切羽詰まっているわけではない。
やっとかないまま年越しはしたくないという案件。
ヒロは窓ガラスの掃除やぬいぐるみのお清めと大掃除に忙しい。
手伝うことない?
と聞くと、おつかいを2件頼まれた。
愛読するブログで見つけた益田ミリさんの一文。
いろんなことがある。いいことも、悪いことも。
特になにもなかった日は、いい日に入れている。
新聞のコラムにあった言葉らしい。
こんな何気ない文章が今の自分の人生に光を照らしてくれる。
ブログの人はこんなふうに書いている。
65歳を過ぎると、
腰や膝や肩や首や歯が痛くなるなど、
身体の不調を感じる日が多くなってくる。
“特になにもなかった日”と認識する日は、
悪いことがなにも起こらなかった「ラッキーな日」でもあるのだ。
仕事をしている時間、
食事をしている時間、
眠っている時間、
TVを観ている時間、
音楽を聴いている時間、
娘たちや孫たちと話している時間、
配偶者と何気ない会話をしている時間など、
特にこのブログに書くようなことではなくても、
これらの時間は“いい時間”であり、これらの日は“いい日”なのである。
……ということで、
ブログを書いていない日も、私は“いい日”を過ごしているのであります。
それが言いたかった。(笑)
僕も同意、それが言いたかったのです。(笑)
今年も去年と同じだったという現状キープはいい年であったということ。
で、今日のレコードアルバムは映画「マカロニ」(1988年公開)のサントラ盤。
これはなかなか稀少です。
レコードプレーヤーを復活させないと聴けない音源。
エットーレ・スコラ監督、主演はジャック・レモンとマルチェロ・マストロヤンニ。
公開当時、ミニシアター系の映画館で観た。
もしかしたら2度観たかもしれない。
このサントラは薄っぺらい輸入盤。
針を落とすとチリチリとノイズが聞こえ冒頭のテーマが流れ出す。
ああ、これこれ。
脳こうそくで入院しているマサオもこの映画が好きだったことを思い出した。
武庫川団地の僕の部屋で飲んだときに何度も何度もリピートして聴いていた。
映画の終盤、マストロヤンニが陽だまりの中でしみじみと呟く。
『時間を無駄にするのはいい──』
この台詞もマサオが気に入って何度も口に出して呟いていた。
益田ミリさんの言葉「…特に何もなかった日は、いい日に入れている。」と
この「時間を無駄にするのはいい。」は同じ意味があるように思った。
そう思えた今日は、いい日に入れよう。
映画音楽を聴いていたら「ひまわり」のテーマが聞きたくなる。
ストリーム配信でヘンリー・マンシーニを検索した。
「はじめてのヘンリー・マンシーニ」というプレイリストを再生する。
『ひまわり』『ムーンリバー』『ピンクパンサー』『シャレード』『刑事コロンボ』
あれもマンシーニ、これもマンシーニ。
筒美京平先生もそうだったが、プロの仕事だなと思いながら鑑賞する。
次はモリコーネを聴こう。
おつかいは2つ。
夙川グリーンタウンのキリン堂でコントレックスを5本買う。
前かごがずっしり重くなる。
灯油を買う。
同じく前かごがずっしり。
プールで30分歩く。
筋トレが足りないな。
自重トレやらないとね。
夜はホットプレートでねぎ焼。
これは僕のリクエスト。
リクエストすると当たり前のように食卓に載る。
“特になにもなかった日”と認識する日は、
悪いことがなにも起こらなかった「ラッキーな日」でもあるのだ。
いま、人生のそんなステージを生きていると自覚する。
初老の年代にさしかかったアメリカ人とナポリ人の二人の男の再会を通して自分の過去をふり返り老後を考える彼らの姿を描く。製作はルイジ&オーレリオ・デ・ラウレンティスとフランコ・コミッテリ、監督は「ル・バル(1983)」のエットーレ・スコラ、原案・脚本はスコラとルッジェーロ・マッカリ、フリオ・スカルペッリ、撮影はクラウディオ・ラゴーナ、音楽はアルマンド・トロバヨーリが担当。出演はジャック・レモン、マルチェロ・マストロヤンニほか。
1985年製作/106分/イタリア 原題:Maccheroni 配給:シネセゾン
この映画を観たのは三十になった頃、いま観るともっと滲みるかも。
でも、DVDも配信もないんですよね。