バスにのって吞みにいく。
食べたもの、飲んだものばっかりアップしていたので今日は料理写真はなし。
あしたまとめてドカンとお目にかけよう。
大阪駅前のバスロータリーから大阪市バスの住吉車庫行に乗る。
市バスは5年前に民営化され、今は大阪シティバスと呼ぶらしい。
バスはほどほどに空いていた。
大阪シティビュー、観光客気分で車窓を眺める。
大江橋、淀屋橋、日本銀行、大阪市役所、御堂筋、中之島、大阪城、難波宮跡…。
ほどなく上本町一丁目の停留所へ着く。
ここらは空堀通りを西へ歩く。
吞もうとする店のある空堀までバスで行けるよと教えてくれたのはセルジオだった。
乗り換えや地下街の移動の面倒な地下鉄ではなくバスで一本というのが気に入った。
バスで思い出したのは田中小実昌さんのこの本だった。
読んだことはなかったがなぜか憶えていた。
小実昌さんがバスに乗っている写真と裏表紙にあった紹介文が印象に残っていた。
老人。でもバスがあるし、パスだってある(使ってないけどさ)。歳をとることはいろんなしがらみやわずらいを忘れて自由になること(身体は不自由になるけどさ)。バス、本、映画、飲酒、居候、旅…いよいよ極まるコミさんの脱力弛緩ライフのすすめ。
初版が1999年、この本を書店で見たのは僕が40代になったころだった。
小実昌さんみたいな老境もいいものだなと思い始めた年頃だったのかもしれない。
老人。でもバスがある。
これが響いた。
アーケードのない空堀通りを歩く。
店まで行く途中、畳屋が2軒あった。
今も現役の小さな畳屋だった。
東西に走るこの通りの両側、つまり南北とは高低差がある。
空堀通りは土塁のように盛り上がっている。
いや両サイドが空堀なのか?
どちらにしろ17世紀、大阪城をめぐる戦のときに豊臣方が築いたものだろう。
空堀(谷6)で吞む。
29年目のマッカラン友の会、去年は3人だったが今年はとうとう2人になってしまった。
当初は温泉銭湯につかって一年の疲れをとったあとに吞みに行く、というプランだったが、
季節は冬、湯冷めが恐いと銭湯は回避する。
若い頃は湯冷めなんて全く気にしなかったが、今は揺さぶりに弱いことを自覚している。
楽しい年末年始に寝こんだりするのは避けたい。
以下は吞んだ3軒
一軒目 スタンド そのだ
大衆食堂スタンド そのだ - 谷町六丁目/居酒屋 | 食べログ
14時〜 瓶ビール(サッポロ黒ラベル)2本
レバカツ
ラムの串焼き
エビカツ
*2人分
二軒目 マキショウ
「蔵朱」の店主が新規オープンしたお店です。
15時10分〜 竹鶴純米秘伝 きもとのどぶ (熱燗)、天穏 他
帆立のしんじょの吸い物
きつねラクレット
うるめいわし
ドライカレー(目玉焼きのせ)
*2人分
三軒目 立吞 めがね堂
立呑 めがね堂 - 谷町六丁目/立ち飲み居酒屋・バー | 食べログ
18時〜 レモンハイ、プレーンハイ *セルジオはハイボール2
めがね焼
すじこん煮
赤ウインナー焼
マキショウで熱燗天国、いい気分になってドライカレーで〆とするつもりだったが、
くっきりした「立吞」の看板に惹かれる。
めがね堂という名前にも惹かれた。
セルジオが店を覗く。
「わあ、アカンわ。若い人ばっかり」
ほろ酔いでいい気分のぼくは構わず戸を開ける。
めがね状のカウンターを囲む客は確かに若い。
明らかに断トツで最年長。
こういう店で吞むのも悪くない。
最奥に陣どった僕の目線の先にカワイイ子が吞んでいた。
それだけでいい店だと思った。
カウンターのスタッフは誰も眼鏡をかけていなかった。
マッカラン友の会ふたりぼっち忘年会終了。
バスにのって吞みに来た。
帰りは歩こう。
老人。でも歩けるし、靴もあるし。