まるで心の引きだしが一つ、2センチほど開いたままになっているみたいだ。
きちんとしまっていないのがわかっているのに、そこへは手が届かない。
今のところは大丈夫、今のところは放っておいてもいい。
しかし、いずれ何かが起きるような気がする。
徹底して考えるべき時がゆっくり迫っている。
(池澤夏樹『真昼のプリニウス』より)
池澤夏樹の小説の主人公 頼子が自問する。
三十代でも四十代にもこの文章を引用して心情を綴ったが、あのときと今とは違う。
忙しくて、やりたいこと、行きたい場所がいっぱいあった発展途上の人ではない。
この体力がいつまで保つか?
残り時間をどう使うか?
何を諦めて、何を求めるか?
すでに “今のところは大丈夫” の期間は過ぎているの自覚もある。
過ぎているのになす術がない。
何かをしなければいけないというのとも違う。
要するに、引き出しは開けっぱなしでもしめても結果は同じなのだ。
いずれ…
いずれ何かが起きるのは必然。
要するに、こころの在り方、世界観を問われているのだと思う。
午後4時、彦根さざなみ酒店角打ちスペースにて近江の地酒を飲む。
さざなみ酒店のオーナー夫人は東京下町出身であるそうな。
てなわけで、今日も日がな遊びました。
かねてから大学駅伝の取材終わりで眼鏡堂氏と吞むという定期イベント。
男子の大学駅伝は箱根以外は出雲と熱田伊勢で行われる。
眼鏡堂は西へ遠征し、その帰りに僕と飲む。
僕自身が駅伝取材をしていた頃も含めて、かれこれ15年くらい続いているだろうか。
伊勢のフィニッシュを取材して京都へ出る、という道筋はついていたのだが、
去年からはコロナで取材陣は熱田でリモート取材となった。
名古屋で取材を終えた氏は東海道線の快速を乗り継ぎ、昨日から近江の彦根に泊まっている。
LINEでこんなやりとりがあった。
眼鏡堂:7日から8日は、滋賀観光にしようかと。ススメは、どこになりますか❓
近江八幡くらいしか行ったことがなくて。
ぷよねこ:一つは彦根、ちと距離はあるけど新快速なら速い。
国宝彦根城は一見の価値あり。周りの城下町もいいし、佐和山城跡も。
さざなみ酒店という角打ちはべっぴんさんの店。
眼鏡堂:魅力的だな 坂本城、光秀も気になる…
ぷよねこ:ことしは桐生と大橋の彦根!
眼鏡堂:「大橋、お前の実家見に行ったで!」
と事情を知らない人は最後のくだりは何のこっちゃでしょうけど、いいのです。
“競泳二冠大橋悠依の彦根”
2021年は彦根へ行くことが運命づけられていたのです。
今日はブロンプトンで五箇荘と安土城跡を巡ってやろうかと目論んでたのだが、
土曜日にボーマンになったのと、天気予報が良くなかったので彦根の単純往復とした。
西宮〜彦根は1980円×2で3960円なのだが、ICOCAスマート定期を購入すると、
1000円で「関西プラス乗り放題きっぷ」なるものが使えるのだ。
前日に予約しておいたそのお得なきっぷをみどりの窓口で発券して彦根へ上る。
ことし2度目の彦根吞み。
以下は写真日記にて(キャプションは追記します)
近江でも湖北(彦根市は厳密には湖東)へ来ると北陸の空気感がある。
彦根藩の14番目の子として生まれた直弼は、優秀だったゆえ13代藩主となり、大老にまで
登り詰め、桜田門外でテロに倒れた。
幕府の大老といえば、明治以後なら総理大臣だろうか。
安政の大獄で悪名高いが、どんな人物だったのか思いを馳せたいと思ったが…。
舟橋聖一「花の生涯」を読んで、またここに来たい。
眼鏡堂氏が泊まった彦根キャッスルリゾートスパ。
すばらしいです!との感想。
キャッスルビューの露天風呂、併設したライブラリーでは客にビールが振る舞われる。
バイキングの朝食も美味しかったらしい。
ロビーで待ち合わせて合流、こじんまりしたロビーの雰囲気もフロントの女性の対応もよかった。
近江牛の鉄板焼きを夕食につけて2食付きで贅沢したいな。
彦根のポスターになっている堀の桜、その格好の展望が望めるのです。
この酒屋を見つけたのは10年以上前にブロンプトンで近江八幡を巡ったとき。
安土から彦根まで輪行して城のまわりをポダリングしてるときだった。
そのときは入らなかったけど、洒落た角打ちスペースがあるなとチェックを入れておいた。
初めて角打ちで吞んだのは去年2020年の1月、近江の酒蔵巡りをした時だった。
今回で3度目の訪問。
チーズと鹿児島の豚肉ジャーキーをつまみに吞む。
自宅用に金亀60と文佳人辛口純米酒を購入。
大阪で途中下車、セブンシーズでVBとタラモアデューを吞む。
揚げたてのフィッシュ&チップス旨し。