毎日読ませてもらってるブログ「毎日jogJob日記」にこんな文章とともに貼りつけられていた。
1974年から1975年にかけてくらいの映像だろう。ジャクソンはグレン・フライにヴォーカルを任せ、コーラスに徹している。リンダがギターを弾いている姿も珍しいと思う。アメリカもウエストコーストのロックも、まだ若く無邪気な時代。
見ているとじわじわ泣けてくる。
グレン・フライも、ジャクソン・ブラウンも、ドン・ヘンリーも、
リンダ・ロンシュタットも、バリー・リンドンも若い。
若いという理由だけで泣けてくる。
あるいは失われたものだから泣けるのか。
無邪気だから泣けるのか。
ここに登場する西海岸の観客たちも「真夏の夜のジャズ」と同じく青春そのものだ。
真夏の…は1950年代、この動画は1970年代の青春を映している。
彼ら彼女らの青春はとっくに終わり、今は七十代。
大半はまだご存命だろう。
いま、どんな暮らしをしているのか。
無邪気といえば…岸政彦「リリアン」の冒頭。
ひとりで家を出て飲みにいくとき、誰もいない浜辺でシュノーケルをつけて、ゆっくりと海に入っていくときに感じに似ているといつも思う。(中略)目的も目標もなにもなく、理由すらなく、ただ地図を見て、ああ次の休みの日はここに行こうと決め、朝早くに起きてフィンとマスクとシュノーケルとタオルと、そのほか細々としたものをダイビング用のメッシュバッグに入れ、ぼろぼろの軽自動車の後部座席にぶちこんで、ひたすらに海に向かっていた。あれは何だっただろう。
僕のポイントは、軽自動車に○○をぶちこんで、というところ。
若い頃、僕も休みが出来ると国内外の旅をしたり、山へ行ったりしたけど、
この軽自動車というのが欠落していた。
フォークソングとか、ロックとかの歌詞に オンボロ車に乗って みたいなのがあって、
軽自動車に〇〇をぶちこんで朝早く街を出る、というイメージに憧れた。
そうしたかったが免許を持っていなかった。
とればいいじゃんと言われるだろうが、金も時間もかかる。
そんな時間があれば電車やバスや自転車で旅がしたかった。
免許をとったのは40過ぎで、結婚してしまったので、軽自動車に…は出来ずに終わった。
アラスカやハワイや米東海岸でレンタカーで単独ドライブ旅行はしたけど、
今はビビってそんな冒険は出来ない老人になってしまった。
♪ 一番電車を見送って 目覚めの紅茶を飲んで シャツの袖をまくりあげ オンボロ車に乗って
(「あした天気になあれ」より)
若い頃に免許をとらなかったという選択が、結果的には自分が交通事故で死んだり、
誰かをひき殺したりしなかったことにつながっている。
そう思って自分の選択を正当化するくらいの生きるテクニックは身についた。
コロナの新規感染者が激減している。
減った理由はよくわからない。
減っていく現象だって実はバグみたいなものかも。
ことしの5月、日記にこんなことを書いている。
この際、楽観するのはやめて最悪のケースを考えてみようと思う。
しばらくコロナの感染者増は止まらない。
最悪#1 グズグズと感染は続く。でも、オリンピックは強行する。
最悪#2 混乱のオリンピックとなるが日本はメダル量産 世間は盛り上げる。
最悪#3 パラリンピックが始まる頃に首都圏を中心に感染爆発が起こる。
最悪#4 安倍、管と愚策、後手に走った政権。だが、総選挙で自民党が勝つ。
最悪#5 ワクチンが一定の効果を上げて収まり、責任追及がうやむやになる。
その後も変異ウイルスが生まれ、小さな感染爆発が続き、経済はさらに沈滞する。
地震、台風など天災が追い打ちをかける。
最悪#6 COVID-19はつかのま収束するも、別種のウイルスが…!
世界各地で資源の奪い合いによる小競り合い、既存の紛争も激化、デストピアが生まれる。
ウイルスより前に厭世観がまん延する。
世界は元通りにはならない。
海外旅行へは自由に行けず、店で酒を吞むのも憚られ、ライブも映画も制限される。
だったら、と思う。
今が一番若い。
今が一番自由。
今が一番マシ。
不自由なことがまたひとつ、またひとつと増えてゆくだろう。
今、自粛してためらっていることはやっておこう。
明日は出来ないかもしれないから。
それを刹那主義、厭世主義というのだろうか。
今の旅行動機のひとつとして「今のうちに」があるのだという。
それは僕が書いたような信用出来ない世界、予想も出来ない世界、つまりバグ。
バグってコロナが減っているのだから、いつか正常に戻ってしまうかも、という。