冥土旅#4
“ これまでの人生でまだ行ったことのない名所 旧跡 行楽地 ” を巡る日帰り旅行。
これを「冥土の土産じゃ」と言いながら巡る度を冥土の土産旅と定義した。
関西圏に限らないけど昨今の事情(コロナ苦、経済苦)でもっぱら関西圏日帰り旅。
目的地はみんな行ったことがあるけど実は… という場所はけっこうある。
通天閣、京都タワー、伏見稲荷、比叡山、坂本、住吉大社、和田岬駅、愛宕山、生駒山遊園、
明日香村の古墳群、春日大社、橿原神宮、信貴山、堺、岸和田城 ………。
冥土の土産旅、略して冥土旅、去年行った場所としては六甲蓬莱峡、竹田城址、名古屋の松重閘門が
認定されるだろうか。いや、松重閘門や神子畑選鉱所などの産業遺産は違うカテゴリーだな。
ことし2021年になってからは、四十七士の赤穂城址、薬師寺、石切神社は冥土旅認定箇所かな。
そんなわけで今日は石清水八幡宮へ老友セルジオ氏と行って来ました。
行程は、JRで京橋まで(ICOCA定期あり)、京阪特急で京橋駅から樟葉(くずは)駅、
樟葉で出町柳行きの普通に乗り換えて石清水八幡宮駅に到着、9時半にセルジオと合流する。
ほぼ直結のケーブル駅から男山ケーブルで石清水八幡宮へ。京都の大展望と国宝の本殿を愛でる。
下山は裏参道を歩いてふたたび京阪の石清水八幡宮駅。
観光案内所でレンタサイクルを借りて木津川自転車道を流れ橋まで往復、ランチタイム。
来た道を戻り桂川、宇治川、木津川が合流する三川合流地点にある展望塔に登る。
レンタサイクルを返却して京阪準急で守山駅、普通に乗り換えて千林駅下車、
軟水の湯 「神徳温泉」であったまり、老舗酒場の「丹倉」で吞んで日帰り冥土旅を〆る。
そもそも石清水八幡宮を何で知ったのか?
小学生の修学旅行が奈良京都で、中学か高校になって京都の寺社に興味を持った。
でも、洛中から離れたこの場所のことは知らなかった。
古典の教科書に載ってた「建礼門院右京大夫集」だったかに、石清水八幡宮という単語があり、
これは「いししみず」ではなく「いわしみず」と読むのか、と知った記憶がおぼろげにある。
そして、「愛と誠」だ。
「君のためなら死ねる」 純愛高校生メガネ君の名前が岩清水弘だった。
古典で知った石清水とマンガの岩清水がずっと僕の頭にこびりついた。
加えて、少し気になる場所だった。
京阪には大阪と京都市内の往復しか使わないので石清水八幡宮駅はいつも通過するだけ。
通過しつつ、いくつも鉄橋を越え、広々とした河川敷が目に飛びこむ。
こんな自然の地形を感じさせる風景が車掌に展開するのは京阪本線でここだけだ。
石清水八幡宮駅のホームは大きく湾曲している。
速度を落とすカーブのある駅は気になっていた。
石清水八幡宮のある男山は3つの川の対岸の大山崎方面から見ると一際目立つ。
さらに男山にはケーブルカーがある。
これにも乗ってみたい。
事前に石清水八幡宮のある京都府八幡市の観光案内を見ていたら「流れ橋」なるものを知った。
木津川にかかる木製の橋で豪雨や台風で水量が増えると床板を外して流れるように設計されている。
四万十川の沈下橋とはまた違った増水対策をされた橋で、セルジオによると「鬼平犯科帳」などの
時代劇のロケ地として有名らしい。彼が過去2回行った時は床板は外されて渡れなかったそうだ。
駅から5キロくらい上流にあり、レンタサイクルを借りることにする。
レンタサイクルを借りるときに年齢を書く欄がある。
瞬間的に、ああ、やだなあ と思う。
でも、書く。
サバ読んだりしない。
取材の受付でも書かねばならない場合もあって…正直イヤだなと思う。
年齢なんて関係あるのか?って思う。
木津川の自転車道を遡り(ほとんど勾配はなし)、20分ほどで到着する。
僕らの他にも自転車やランニングで来てる人もいる。
地元の人はレジ袋を下げて渡っていく。
確かに向こうから木枯らし紋次郎が歩いてきそうな橋だ。
そんな流れ橋を見渡すベンチで缶ビールを飲む。
木津川自転車道を下流方向へ走る。
三川合流地点の「さくらであい館」、そこに展望塔がある。
三川合流の三川は奈良方面から来る木津川、琵琶湖から来る宇治川(瀬田川や鴨川を集める)、
嵐山方面から来る桂川(鴨川、高瀬川を集める)です。
広大な氾濫原がある。
この中洲に桜で有名な背割堤もある。
展望塔に登った。
木津川と宇治川は見えるが桂川は見えない。
そのかわりにどーんと天王山が見える。
光秀 vs 秀吉 の山崎の戦いの布陣図がある。
なかなかタイムリーで面白い。
レンタサイクルを返却して淀屋橋行き準急に乗る。
守口で普通に乗り換え。
ここからが旅の副産物。
京阪本線でもっとも駅間が短い区間が土居駅とどこかということは知っていた。
「あ、土居駅や。ここな京阪でいっちゃん短い区間だったはずやけど…この先だったかな?」
と言い終わるか、終わらないかで、セルジオが言う。「あ、着いた」
千林~滝井~土居 駅間は400メートル台(謎解きクルーズ): 日本経済新聞
京橋駅から普通電車で8分の滝井駅(守口市)。一駅先の土居駅(同)との駅間は418メートルと、関西の鉄道各社の本線では最も短い。これはあくまで駅の中心地点間の距離。ホームの端から端までの最短距離は159メートルしかなく、隣の駅の声が聞こえそうだ。
扉が閉まって電車が動き出してから、隣駅に到着して扉が開くまでの時間を手元の時計で計るとわずか54秒。400メートル男子の日本記録が44秒台なので、足の速い人なら走ってもそう変わらない。
ホームとホームの間が159mだって?
調べたら阪神本線の住吉と御影も500mほどだった。
千林駅で下りて神徳温泉へ行く。
前に言ったのは4年前の4月だった。
2017/4/16 - ぷよねこ減量日記 春爛漫 二幕を愉しむ / since 2016
ゆっくりと軟水を沸かしたぬるめの湯につかる。
当然のように「丹倉」の客となる。
口開けの瓶ビールが旨い。
4年ぶりに見た店主はその時間分だけ老いていた。
見覚えのあるもう一人のおっちゃんも同じだけ老けていた。
客である自分たちも老けているに違いない。
以下、写真日記にて候。
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