実は観てない映画10本 の第一弾です。
スティーブン・スピルバーグ監督『ジョーズ』(1975年)2時間03分
平和な海水浴場に突如出現した巨大な人喰い鮫。観光地としての利益を求める市当局によって対応が遅れ犠牲者の数は増すばかりとなるが、遂に警察署長ブロディと漁師クイント、海洋学者フーパーの三人の男が鮫退治に乗り出す。ピーター・ベンチリーのベストセラーを若きスピルバーグが映画化したメガヒット・ムービー。
1975年、僕は18歳、高校を卒業して新聞配達をしながら浪人生活を送った年。
映画はほとんど観た記憶がない。
模擬試験とかゼミナールとかで名古屋に行っては、ぶらぶらあてもなく遊んでたんだけど…。
もちろん『ジョーズ』のヒットは知ってたけど俗っぽいエンタメ映画と思って興味が向かなかった。
鬱屈して人生を斜に構えて見てた時代だったし。
舞台はアメリカの東海岸の避暑地の島。
ニュージャージー州の実在の島であった鮫の事件がモデルらしい。
映画の舞台、アミティ島の描写を見てたら映画「おもいでの夏」を思い浮かべていた。
やっぱり1970年代の映画だなと思った。
映画の入り方や、台詞まわしが古くさい。
アメリカンニューシネマってこんな感じだった。
古くさい、同時にこの映画の世界に反射的にあこがれてしまう自分がいた。
あのころの外国、あのころのアメリカが根っから好きなのだ。
それと、どんな映画を見ても今より過去の方が素晴らしいと思えてしまう。
何度も引用するがこういうことだ。
歳をとるにつれて…いや、正直に言えばまだ50代後半なのでたいした歳でもないのだが、
それでも過去の方が、現在よりも大切に感じられるようになった。
決していいことではないのかもしれないが、それは事実だった。
あのころ、物事にはずっと張りつめた空気があった。
日射しはずっと暖かかった。風は冷たく、犬はずっと賢かった。
(ジョー・R・ランズデール「ダークライン」より)
過去の方が良かった。
2020年の今、なおさら思うよ。
「ジョーズ」は怖かったわ、とヒロが言う。
でも、今回見て正直怖くはなかった。
ジョン・ウイリアムスの音楽はよかったけれどもう聞き慣れてしまってる。
どちらかというと男3人の冒険映画だと思って楽しんだ。
賞金稼ぎのカーボーイ映画。
ああ、この頃、ロイ・シャイダーやリチャード・ドレイファスってよく映画に出てたなあ。
リチャード・ドレイファスは「アメリカン・グラフィティ」の主人公の青年。
このあとニール・サイモンの「グッバイ・ガール」(ハーバート・ロス監督)に主演した。
ヒロインはマーシャ・メイスン、懐かしい。
1978年に日本公開とあるから大学生になってから観たのだ。
ちなみに「ジョーズ」は観てなかったが、「ジョーズ2」は観た。
大学に入って新聞配達のバイトで金沢の映画館の招待券をもらってたのだ。
オールナイトで新作のアメリカ映画を観てた頃が懐かしい。
あのころ、何年か先は僕は英語をネイティブみたいに話して、東京や大阪へ行くみたいに
ニューヨークやサンフランシスコに行くのだ、と確信に近い未来を想像していた。
ビジョンはあったが、そのために何の努力もしなかったし覚悟もなかった。
それなりに中途半端にシアワセで満たされてたからな。
舞台のアミティ島、夏はリゾート客で稼ぎ時だ。
署長や専門家の警告を市長は聞き入れない。
サメと経済活動、コロナ感染と経済活動。
鮫ハンターのロバート・ショーはアクが強い。
千鳥のノブ風に言えば「クセが強い」
黒澤映画とかに出てきそうな。
日本だったら勝新かな。
登場人物は少ない。
いま見るとかなりの低予算映画だと思われる。
鮫はなんだかユニバーサルスタジオのアトラクションにしか見えない。
でも、大ヒット、稼いだのだ。
何を見ても何かを思い出す。
同じ海洋動物のパニック映画で「オルカ」がある。
これも大学時代に金沢の映画館で見たが印象に残っている。
リチャード・ハリス演じる主人公に母とこどもを殺されたオルカが執念深く復讐に来るという物語。
これは怖かった。
いま見たらどうかは分からないけど。
女性海洋学者の役でシャーロット・ランプリングも出ていた。
いい映画だったなあ。