本を読みながら午睡する。
読み始めるときヒロが買いものへ出かける。
帰ってきてまだ眠ってたら起こしてもらうように頼んでおく。
「ひりつく夜の音」10頁くらいで微睡み、案の定、文庫本を腹にのせて眠ってしまう。
玄関の気配で目が醒めた。
ヒロが買いものを冷蔵庫にしまう音がする。
部屋に歩いてくる気配がする。
「起きてるよ」と先手を打って一言。
顔を洗って冷蔵庫から飲み残しのアイスコーヒーを出して小説の続きを読む。
そういえば、とメルカリの本が売れていたことを思い出した。
セブンイレブンで発送、ついでに図書館で貸し出し期限が切れている本を返却する。
そういえば、とセブンの雑誌売り場でNumberを探す。
Numberの新刊、ついでにPopeyeの夏の読書特集を買う。
Popeyeの新刊なんて買うのは何十年ぶりだろう。
カフェインレスの生茶と冷えた塩大福を買って、図書館へ寄り、夙川沿いのベンチに座る。
大福を食べながらPopeyeをパラパラやる。
僕らが二十代の頃とは見映えも違ってどこか洗練されてる。
創刊のころはどこか安っぽい自主出版誌みたいでインクの匂いが臭かった。
写真のモデルも昔は見映えのよくない普通のおっさんたちだった。
ただ、伝えたいというパワーは濃かったように思う。
時代が変わって単に雑誌の役目が変わったということだろう。
Numberに村上春樹のインタビュー記事が載っている。
インタビュアーは髙橋秀実。
この人、僕の聖書「はい、泳げません」の著者で春樹氏とは旧知の仲らしい。
最近、高齢者アスリートへのインタビュー本を出版して、その流れで71歳のランナー村上春樹に
インタビューを申し入れたという経緯で、このインタビューが面白かった。
大きなヤカンとは?
「大きなヤカンはなかなか沸騰しませんが、いったん沸騰したらいつまでも冷めません。」
僕のメンタリティーも最近はそれに近いような気がしている。
年をとってからの趣味、ランニングも、ブログも、山登りもそうだけど、なかなか止めないし。
そうか、村上春樹はこの2月の京都マラソンでは鴨川のぬかるみで歩いてしまい、制限時間の
6時間に間に合わなかったのか、そうか、そうなのか、古希だもんな。
ランニングに関する戦いを“壮絶な撤退戦”という。
「僕は負け戦を闘っているんです。ミッドウェー以降の日本軍みたいなものです。
ソロモン、ガダルカナル、レイテ……。つまり撤退戦ですね。それは壮絶な闘いになる。」
ー壮絶なんですか。
「ナポレオン率いる仏蘭西軍がモスクワから撤退する感じ。撤退戦をどう戦うか。
戦局を挽回するためのバルジ大作戦みたいなもの。最後の反抗なんですよ」
ーたちまち話は時空を越えてワールドワイドに展開し、私は混乱した。
老いぼれていく年上の小説家に髙橋は容赦なく突っこむ。思わず笑ってしまう。
かつて著書に書いた自らの墓銘碑についてのツッコミが良かった。
ーこれは直さなければいけませんね。
余計なお世話だが私は進言した
ちょっとムキになる71歳の春樹さんもよかった。
ランニングに関して大した全盛期もなかったけれど僕も60代を過ぎてからは撤退を自覚している。
距離が伸びない、ペースが上がらない、毎日は走れない。
記録を伸ばそうという意欲もなくなってきた。
それでも抵抗しながらも闘っている。
正直、走れるだけ儲けものだと思っている。
ときどきそこそこ気持ちいいペースで走れたときは気持ちいいし。
春樹氏がこのインタビューで言ってたことで僕との共通点がひとつある。
氏は少年時代、母に「負けず嫌いじゃないとこがダメ」と言われたとある。
御意、であります。
負けることをそれほどのことだと思えない。というか、負けてる自覚もない。
麻雀はしないけど、ゲームをやっても、パチンコをやっても、競馬をやっても同じで、
勝てばそれなりに嬉しいけど。負けても悔しくもない。お金がかかってたら後悔するだけだ。
だからギャンブルもゲームもあんまり好きになれない。
夙川沿いのベンチで生茶と塩大福を食べながら読む。
むき出しのふくらはぎを虫に刺されて痒い。
半時間ほどの間にベンチの前を散歩の犬たちが7匹くらい通り過ぎた。
どの犬も僕を一瞥して、ちょっとだけ立ち止まってすぐに興味を失って去って行く。
一匹だけ飼い主の意に反して僕のふくらはぎに身体をすり寄せて去って行った犬がいた。
犬種はたぶんトイプードル。
あれはマーキングの一種だろうか、それとも親愛の表現だろうか。
きょうも夕方に同じコースを走る。
最近、体重は増えているのだが走るペースは上がっている。
距離は短いがいい感じで走れている。
撤退戦にだったこういう時がある。
気持ちよく走れたらそれでいい。
帰宅してカオマンガイを食べる。
きょうは目玉焼きのせ。
そのままブラタモリの伊豆大島編を見て、突撃カネオくんでダム特集を見て、
きのうの日記を書いて、amazonプライムで「クロール〜凶暴領域〜」を観る。
競泳選手の大学生ヘイリー(カヤ・スコデラーリオ)は、巨大ハリケーンの後、父(バリー・ペッパー)と連絡が取れないと聞いてフロリダの実家に戻る。地下で大けがを負い気絶していた父を発見した彼女は、突如何者かによって地下室の奥に引きずり込まれ、右足を負傷してしまう。家の中はどう猛なワニたちに支配されていた。
主人公のヘイリーはいかにもアメリカの競泳選手にいそうなルックスだった。
凶暴なワニより速くクロールで逃げ切れ!
温暖化でここいらの海や川にもワニがうようよ泳いでいるなんて時代は遠くないかも。
4月に買った3リッターボックスの赤ワインを今日で飲みきった。