高校生の頃から大好きだった詩がある。
谷川俊太郎が17歳のときに書いた「ネロ 愛された小さな犬に 」
ネロ
もうじき又夏がやってくる
お前の舌
お前の眼(め)
お前の昼寝姿が
今はっきりと僕の前によみがえる
詩集『二十億光年の孤独』より
ねね ……母と妹に愛された真っ白なポメラニアン。
最後まで僕にはなつかなかったけど、この詩を捧げたい。
先々週は信州、先週は丹波、今週は…刈谷の母のとこへ日帰りした。
4月、桜に季節にそろそろ行く頃だなと思っていたが先週土曜日にLINEで愛犬ネネの訃報が届いた。
90歳の母と13年と数ヶ月暮らしたポメラニアンが5月に亡くなった。
家族同様、それ以上の存在だった愛犬の喪失、さぞやショックだろう。
淋しいだろう、悲しいだろうと思う。
帰省したときに傍らにいつも ねね がいた。
14年近くずっと一緒だった。
母も、ねね も高齢だ。
心配だったのは ねね が死んだら…ということだった。
いつかは確実にやってくる。
ねね は病気で目が見えなくなっていた。
でも、彼女は気に病むことなく、実家のテーブルの上を定位置(玉座)にして、
おやつをもらい、王女のごとく振る舞っていた。
同居している妹にLINEすると、もう一ヶ月も経つんで大丈夫だよ、と返信が来た。
とりあえず様子を見にいこう、と雨の金曜日、日帰りすることにした。
以下、ねねの追悼フォト日記です。
実家のリビングはさっぱりしていた。
ねねのいた痕跡はなく、ねねの便所も、寝床も取り払われていた。
母も普通に部屋から出てきて元気そうだった。
「死んだときはかわいそうでね。悲しかったけど…」
妹の由美子がスマホで写真や動画を撮っていた。
「いまはこうしていつも見られるでいいわ」と。
最後の最期はちょっと苦しんだので歯(牙)を食いしばった死に顔だったが、
すぐに安らかで幸せそうになったという。
毛をカットして「ねね、ありがとうね」と言いながら動画を撮った。
それを見せてもらう。
う、かわいい。
ねねは僕が来るたびに吠えた。
たいていの犬とはなつかせる自信はあったが、何年経っても来るたびに吠えられた。
たぶん僕は飼い主ではなく、よそ者で、自分以下だと思っていたのだろう。
晩年、病気で目が見えなくなってからは吠えられなくなった。
ポメラニアンはドイツ原産。ポメラニア地方はドイツとポーランド国境にあるという。
平均寿命は13.8歳と犬の中では長寿らしい。
ねねはちょうど平均寿命くらいで亡くなったのだ。
夏になるとモフモフの毛柴犬のようにカットした。
甘やかされて育てられたのでずっと小太りのデブちゃんだった。
母と妹は以前にもポメラニアンを飼っていた。
茶色のポメで茶々という名前。
茶々が死んだときはもう犬は飼わないと決めていたらしいが、2年後にたまたま入った岡崎のペットショップで真っ白なポメがいて、抱き上げたら一目惚れ。
「めっちゃ可愛かったんだわ」と妹。
「連れて帰ってえ」と囁かれたと母。
いつもより長居した。
帰りは名古屋発18時のなんば行「ひのとり」
普通席もほぼ満席だったんでプレミアシートにするも、ほぼ満席。
この時間帯は要注意だな。
独立シートだからよかったが、隣りに巨漢で息の荒い男が座る。
「つかれたあ、暑い」とハアハア言って迷惑。
おまけにゲームを始め、イヤホン漏れがひどいので睨んだらゲームをやめた。
鬱陶しい。
帰りの近鉄特急、ベストは空いているときの「ひのとり」普通席だな。
プレミアシートはサイズ感が合わない。