ヘビーに愛読、さらに再読を重ねているコミック「酒のほそ道」に触発されて、
ひとりで飲みに行くことがよくあり、それが還暦後の愉しみのひとつとなっている。
鰻で飲む、蕎麦で飲む、町中華で飲む、電車で飲む(これは六角精二の影響か…)。
きのう『酒のほそ道 [酒と肴の歳時記 冬編]』を読んでいたら…
主人公 岩間宗達くんが、初めての鮨屋に入る下りの一編。(再々々々読かな)
ちなみに、宗達が僕に似ていると複数の人から言われたことがある。
否定はしない。
初めての鮨屋は値段がわからない。
今ならネット検索で食べログや口コミでなんとなくわかるが昔はそうじゃなかった。
たとえば出張で行った空港の待ち時間に入る鮨屋とか、地方の駅前の店とかでは
そういうときは にぎりの盛り合わせ を注文することが多かった。
かつての羽田空港にあった「寿司田」で 雅 とか洒落た名前のついたセットとビールと吟醸酒などで待ち時間を過ごすのは贅沢な気分になれた。4000円以上はしたと思う。
*羽田空港店は現在も営業してました。
寿司田 羽田空港店 お品書き | 本格江戸前寿司 オフィシャルホームページ
宗達くんみたいに「され、何から食べようか?」がしたくなった。
寿司田を検索したが、かつてツインビルにあった店はなく、近所にはなかった。
京橋駅前にある「大起水産」へ行ってみたが何とカウンターがお一人様で満席。
そういうときには「がんこ寿司」かな。
仕事終わりで阪急梅田駅近くの大きながんこへ行ってみた。
大阪出張で近所のホテルに泊まっている というイメージでカウンターに座った。
上にぎりを注文した。
2600円(税別)でした。
松竹梅「豪快」の冷酒で始める。
10分ほどしてドーンと上にぎりが来た!
追加でわさびをもらう。
まず左上端の白身、ひらめから。
次にいか、蒸し海老、サーモン。
その間に穴子を少しずつ切ってつまむ。
続いて、大根おろしがのった鰤トロ、穴子、鮪の中とろ、雲丹、最後に大とろ。
うーん、あんまり美味しくなかった。
具も、シャリも大き過ぎて、冠婚葬祭の仕出し料理っぽい。
このビルは和食ならなんでもありの寿司専門店ではないし。
ま、見た目からしておいしそうではなかったので想定内でしたが…。
ちょっと2600円は高いな。もったいないことをした。
それでも広いカウンターにポツンと一人客、居心地はいいので2種類追加する。
下足と鰻を一貫ずつ。
下足は生ではなく茹でたもの。
これも仕出しっぽい。
鰻の寿司は大阪ならではのネタらしい。
ということを「酒ほそ」と同じ作者ラズウェルさんが鰻コミック「う」に書いていた。
確かに他ではあまり見ないネタかもしれない。
結論:がんこで “にぎり盛り合わせ一人前” 欲は満たされなかった。
日本酒の冷酒と合わせて4000円はもったいなかったな。
やっぱり出張で空港とか駅前とかの旅情こみで食べるものかな。
も少し上等な鮨屋のランチとかならいいかもしれない。
でなきゃスシローだな。
あそこのカウンターなら、一人になれて、本も読めて、好きなネタだけ食べて飲んでも2000円以下で、まずまず満足、手軽に寿司欲を満たすことが出来る。
スシローか、寿司ふじ本、今はこの2択ですね。