ぷよねこ減量日記 since 2016

結果が、最初の思惑通りにならなくても、そこで過ごした時間は確実に存在する。そして最後に意味をもつのは、結果ではなく、過ごしてしまった、かけがいのないその時間 である。 (星野道夫)

【Easter eggs 2021】 「KCIA 南山の部長たち」@リーブル梅田

1950年代から1980年代の朝鮮半島の歴史は苛烈の一言に尽きる。

同じ民族同士の戦争、独立、虐殺、軍事クーデター、民主勢力の弾圧、高度成長。

映画「KCIA 南山の部長たち」で朴正熙大統領が側近に言う。

「そろそろわが国もカラーテレビを普及させないとな」

1979年のことだ。

え? 1979年だって。

調べたら日本は昭和49年(1974年)にカラーテレビの普及率は9割近い。

朴正熙軍事政権の18年で韓国は大きく経済成長を遂げたというが末期でも日本とかなり違う。

いまの韓国を知っている人、今の若い層は驚くだろうけど、

戦後しばらく大韓民国は世界最貧国のひとつだった。

当時は北朝鮮より遅れていた。

大戦後に国土が戦場になったというのはそういうことだったのか。

 

「KCIA 南山の部長たち」@リーブル梅田

ことし一本目が「新感染半島」、奇しくも2本目もコリアンムービー。

舞台は1979年の韓国の中枢、緊張感に満ちた面白い映画でした。

5点満点の4.5くらいか。

見終わって感じたこと

・韓国も日本も、今も昔もアメリカの支配下、逆らったらつぶされる。

・親分と子分、謀反の構造は大河ドラマ「麒麟がくる」と同じ

・独裁者の周辺、地位を追われたら殺されるはマフィア映画のよう。

・回顧録を執筆中だという元部長から原稿を奪うが当時は紙の原稿が全てだったのか…。

・登場人物はかつて日本軍に所属していた韓国のエリート (和室と日本語の会話)。

・映画はあくまでフィクションだがラストに出てくる本人の肉声やニュースフィルムに鳥肌。

 

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オリジナルのビジュアルがうまく映画を表現している。

1979年10月26日、大韓民国大統領直属の諜報機関である中央情報部(通称:KCIA)部長キム・ギュピョン(イ・ビョンホン)が大統領(イ・ソンミン)を射殺した。大統領に次ぐ強大な権力と情報を握っていたとも言われるKCIAのトップがなぜ?さかのぼること40日前、KCIA元部長パク・ヨンガク(クァク・ドウォン)が亡命先であるアメリカの下院議会聴聞会で韓国大統領の腐敗を告発する証言を行った。更には回顧録を執筆中だともいう。激怒した大統領に事態の収拾を命じられたキム部長は、アメリカに渡り、かつての友人でもある裏切り者ヨンガクに接触する。それが、やがて自らの運命をも狂わせる哀しき暗闘の幕開けとも知らず・・・

監督:ウ・ミンホ
キャスト:イ・ビョンホン、イ・ソンミン、クァク・ドウォン、イ・ヒジュン、キム・ソジン

 

たまたまこの日(2021/1/28)、A木もこの映画を観たようだ。

以下、LINEでのトークをコピペしときます。

 

【A木】良かったです!かなり良い

【ぷ】オレも今日見た。

【A木】あれ?心斎橋で?

【ぷ】リーブル梅田  フィクションだけどラストの本物、全斗煥と本人出てきて鳥肌が。

   あと朴閣下と全斗煥役の将軍の役者が激似。

【A木】ラストの写真と肉声にやられました。ズッコケ暗殺シーンもリアル。

   コクソンのぶーちゃん(前部長)が良い味。ジェームス三木。

【ぷ】趣味の悪い東洋人

【A木】パククネ見たらどう思うんですかね?

   酒飲みたくなったけど映画館出たら全部閉まってましたわ
【ぷ】母ちゃんはその前に在日韓国人に撃たれた。拳銃は大阪で奪ったもの。

   帰りに韓国の歴代大統領を調べてしまった。

【A木】梁石日の小説読みましたわ。

【ぷ】そろそろカラーテレビ普及させるかってシーンが台詞があったでしょ。

【A木】ありましたね79年でしょ!

【ぷ】李承晩の頃はまだ韓国は世界最貧国のひとつで、実は朴政権の18年で高度成長した。

   日本にはかなり遅れをとってた。そりゃ日本の終戦から10年後まで戦場だったもんね。

   当時はそれほど戦場にならなかった北の方が豊か。

【A木】なるほど。殺人の追憶でも戦後すぐみたいな飲み屋出てきましたもんね。

    80年台初頭なのに。

【A木】思い出した。梁石日の小説は「夏の炎」在日の暗殺犯が主役の話。

【ぷ】1985年にソウルへ行ったことあるけど裏町は戦後の日本、 

   僕ら昭和30年代生まれの育った頃の日本みたいだった。

【A木】梁石日も映画に出てきそう。(笑)

【ぷ】「夏の炎」は短編?

【A木】いや、長編でしたね。結構面白かった記憶があります。血と骨読んだ頃ハマってた頃。

【ぷ】ところで…パリで殺された元部長がいう「イアーゴ」って結局誰だったの? 

   あの警備室長クァクじゃないよね。もしかして全斗煥?

【A木】「イアーゴ」は全斗煥だと思います。最後金庫開けて金塊盗ってたの全斗煥でしたよね?

【ぷ】キム部長が官邸の屋根から小部屋に入って盗聴してるシーンあったけど、

   組織のトップが自分で盗聴する? て思っちゃった。

【A木】普通は自分でしませんよね。自分でやるところが韓国映画。

【ぷ】極めて個人的な関係を探るシーンだったからね。

【A木】おかげでイ・ビョンホンに感情移入しました。

【ぷ】キム部長のビジュアルが須藤元気。

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【A木】角度によったら、遠藤憲一と松重豊に見える瞬間ありましたね。

【ぷ】エンケンね。イ・ビョンホンはベースは新庄剛志似。

  

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 この映画を紹介してくれたH田ともトークする。【H田】【ぷ】


【H田】キム部長のあの最終陳述聞く限り、何が正しいかはさておき正義の人だったんだなと。

   死ぬことがわかってて、中々あそこまで誠実には語りかけられないなと。

【ぷ】死ぬことがわかってたから。命乞いはしないと。あれは義の印象残すね、この映画では。

【H田】ですね、最後の最後で一番刻まれる映像来たかって感じですね。

【ぷ】「麟がくる」がまさに今、暴走して民心が離れていく信長と義の人として描かれている光秀

   その亀裂が入るところなんだよね。

【H田】同じ方向向いて進んでても地位とか立場でおかしくなる人はどの時代もいるんですかね。

【ぷ】それと日本も同じだけどご主人様アメリカのご機嫌を損ねるとね。

  田中角栄も中国に近づきすぎたせいでロッキード。あれ以来、ポチ的傾向は強まっている。

  朴政権のときのアメリカ大統領がトランプだったらまた違った展開だったかも。微妙だけど。

【H田】世界を悪くしたりややこしくしてるのっていつもアメリカな印象ありますね。

【ぷ】前は東側があったけど今は大義はなくなっちゃったもんね。

【H田】トランプだったら正面切って攻め込んでたかもしれないですね。

    外交的な駆け引きとかなさそうですね、イエスかノーか。
【ぷ】 いや、逆で民主勢力弾圧を容認して握手してたかも。

    エスタブリッシュやリベラルが嫌がることをやりたがる。北との握手とかね。

    そうそう、リーブル梅田はそこそこ入ってた。

    あのポーランドの映画見たいなと思ったけど2月までやってるかな? *「聖なる犯罪者

【H田】たぶん大丈夫だと思います!2月中旬まではもたないかもです笑

【ぷ】ことしは厳選して月2本ルールで。1月はコリアンムービーで2本でした。

【H田】韓国映画豊作月でしたから!

【ぷ】A木にも質問したけど「イアーゴ」って結局誰?
   警備室長じゃないよね。最後に金庫破りしてたのは全斗煥だったけど。

【H田】イアーゴだとすれば最後に金庫破りしてた全斗煥かと!

   最初にイアーゴ、イアーゴって話出てたけど、途中からあんまり関係ない感じでしたよね!

【ぷ】全斗煥はまだ生きている。

【H田】それだと流石に違いますよね!

【ぷ】でも、あえて最後に全斗煥が金庫破りしてるとこ出したのはそうかなと思わせる表現かなと

   全斗煥は捕まって死刑求刑されたけど罪は光州事件とかだった。(今は恩赦)

   確かにレビューであえて誰も触れないね。

【H田】実際黒に近いグレーだと制作側というか世の中的にはそう思ってる人多いんですかね?

    確かにレビューもそこには言及してるのなさそうでしたね

 

朴大統領は自分から具体的な命令は出さない。

親分子分、権力者とその取り巻きという関係性を作る。

あとは「察しろよ」「忖度しろよ」だ。

ボーとしてんじゃねえよ、だ。

下がその意向を受けて実行する。

あるいは自粛する。

追求されても命令はしていないと言い逃れる。

やり過ぎだと思います、と。

日本の現政権のやってることだ。

                         (2021/1/28)