8月1日、知多半島の常滑を歩いた。
東海市に住んでいる妹と永代供養の相談をしたあとに。
そもそも、この暑さでは行くところではなかった。
行きたいとは思っていたけど、自重して目的地から外していた。
でも、背中を押されたのは妹の義母さん(姑)だった。
妹「病院で薬もらいにいくなら送ってこか?」
義母「ありがとう。送ってもらうわ」
妹「帰りはどうする? ちょっと迎えに行くの遅れるけど」
義母「ええわええわ、ドンキで1時間くらいは時間つぶしとくで」
ドンキはMEGAドンキという大きなショッピングモールのこと。
このモールで時間つぶすという義母さんは ……… 御年九十七なのだ!
三十歳も上の人に叱咤されたように思えた。
知多半島、次にいつ来るかはわからない。
一期一会、千載一遇、名鉄太田川の駅からセントレア行きに乗った。
20分ほどで常滑駅に着く。
常滑は「とこなめ」と僕は読める。
全国的にはどこまで知られているんだろ?
愛知県刈谷市は知多半島ではないがつけ根あたりに位置する。
旧国名だと三河なので尾張の知多半島とは違うが。
隣り町の大府市は尾張国で、知多半島のつけ根と言えるだろう。
知多半島は先端の岬 師崎や漁港の豊浜には観光で行ったことはあるが、
半田市、武豊町、東海市、知多市へは行ったことがなかった。
(醸造の町 半田には2020年の暮れに行った)
そして、もうひとつの古い町 常滑 にも行ったことがなかった。
そこが焼き物の町だというのも知っていたが…
日本の歴史や文化に疎く、無教養な若者だった僕の興味の対象ではなかった。
それどころか一刻も早く愛知県から脱出したかった。
常滑駅周辺に「焼きものの散歩道」が整備されている。
観光案内所へ行き地図を入手する。
その駅の通路でポスターを見つけた。
アニメ映画のポスターだ。
スピンオフの実写版もあるみたい。
「泣きたい私は猫をかぶる」というアニメ映画で、Netflixで配信されている。
もしかして「君の名は。」みたいに、常滑はアニメの聖地みたいになってる?
町とコラボの予告編もあった。
さっき通ったばかりの常滑駅改札もアニメの舞台になってます。
常滑焼の町が丘の上に広がっていた。
駅からは500mくらい離れていて登り坂になっている。
その丘に迷路のように小径があって、どこか秘密めいた路地があって、
猫の通り道みたいな草むらと植え込みがあって、板塀と、赤煉瓦の舗装路。
丘のてっぺんからは瓦屋根とその向こうに伊勢湾の海が見えて…
知ってから歩くと…なんだかアニメの舞台みたいだな。(笑)
地図を頼りに、それでもときどき迷い、真夏の昼下がりの常滑を1時間ほど歩いた。
常滑は日本六古窯のひとつらしい。
六古窯とは…越前、瀬戸、常滑、信楽、丹波、備前を言う。
行ったことがないのは越前焼、瀬戸もの、備前焼の町、近いうちに訪ねよう。
涼しい季節にゆっくりと歩きたい。
窯業の町、窯業とは…粘土などの鉱物質原料を 窯 かま や炉で高熱処理をして、陶磁器・ 瓦 かわら やガラス・セメント・耐火物などを製造する工業をいうらしい。
要は産業としての焼き物ということだろうか。
常滑は伊那製陶の町、そういえば半田はミツカン酢の町だった。
1924年創立の地元製陶会社「伊奈製陶」(のちINAX、現在のLIXIL)は便器など衛生陶器の分野において全国第2位のシェアを占め、タイルにおいては国内はもとより世界的にもトップとなる大企業に成長する。
以下、キャプションで綴る常滑日記です。
アニメの主題歌はヨルシカです。