この秋の我が家のブームは餡子(あんこ)だ。
折に触れ、スーパーでおはぎの2個パックを買ってくる。
きなこに包まれたもの(何と呼ぶの?)と粒あんのものを二人で半分ずつ分けて食べる。
マンダイで買ったのはイマイチだった とか、関西スーパーのは国産小豆でおいしい、とか。
味さだめをしながら食べる愉しみ。
もともと嫌いでは無かったが、いつからか餡子が大好きになった。
気がつけば御座候を買い食いしていたり、中華まんの熱々のあんまんを買っていたり。
意識してなかった近くにいる女性にある日 胸ときめく感じ?
餡子偏愛に拍車をかけたのはたまたま観たBSプレミアムの登山番組だった。
「日本トレッキング100」で、俳優の松尾諭が行動食としてあんこ玉を携帯していた。
(松尾諭が文春オンラインで連載していた「拾われた男」は傑作エッセイです)
小豆から4時間掛けて煮る自作のあんこをラップに包んであった。
「あんことアイスコーヒー、これが合うんですよ」とご満悦。
会話を聞いていたら、彼があんこを自分で作りはじめたのは珈琲好きが昂じたものらしい。
珈琲とあんこ、合う?
珈琲はドーナツでしょ。
折しも、あんこマイブーム。
試してみた。
合うわ、これ。
ずっと餡子には緑茶だろうと思って生きてきた。
その固定観念が瓦解した。
珈琲とあんこ、相性バッチリやんか。
ドーナツのように揚げてないさっぱり感。
やわらかな砂糖の甘みをブラックコーヒーが洗い流してくれる心地よさ。
店ではなかなか食べられない組み合わせ。
名古屋名物のあんトーストくらいか。(これがあった!)
そういえば…片岡義男の短編に「豆大福と珈琲」という作品があったことを思い出した。
あの小説は珈琲と豆大福がモチーフだったが、合わせて食べるという描写はなかったはずだ。
合うと書いてあったら試したかな?
これもタイミングかなと思う。
自分の中に餡子ブームが来てなかったからだ。
珈琲には餡子です。
六十数年生きてきて、珈琲とあんこの相性に気がつかなかった。
もったいないことをした。
珈琲にはあんこ。
あんこは粒あんがいい。
そして珈琲はシアトル系の深煎りのものより、昔ながらの喫茶店系の酸味があるものがいい。
と書いて、深煎りも合うかもしれないと思う。
今度、試してみよう。
僕がデスクでコンビニの100円珈琲ときんつばを食べていても、驚かずに見逃して欲しい。