ぷよねこ減量日記 since 2016

結果が、最初の思惑通りにならなくても、そこで過ごした時間は確実に存在する。そして最後に意味をもつのは、結果ではなく、過ごしてしまった、かけがいのないその時間 である。 (星野道夫)

2020/10/05 Mon. ケンゾーとカイルと壊れたカメラ

朝、デザイナーの高田賢三さんの訃報をネットニュースで知る。

新型コロナウイルス感染からの合併症だったとのこと。

(そういえば山本寛斎さんも今年7月に亡くなっている)

高田賢三さんはとりたてて思い入れのあった人ではないけれど、

こいつのケンゾーという名前は高田賢三さん由来なのです。

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ケンゾーくんが高田賢三さんを追悼して黒いスカーフをつけた。

今から7年前、このぬいぐるみを買ってきて最初に首に巻いたのがKENZOブランドだった。

名前は何にする? とヒロに言うと「KENZOのハンカチ巻いてるからケンゾー」で決まったのだ。

享年八十一、ご冥福をお祈りします。

 

午後から梅田に出る。

大林カメラで修理に出していたデジカメを引き取った。

見積もりで修理代が24000円!新品とほぼ同じ値段なので修理しないことに決めた。

このカメラが壊れた顚末はのちに書くが今思い出してもムカつく。

歩道を歩いていて暴走自転車に引っかけられて破壊されたのだ。

地面に叩きつけられたカメラは一瞬にして死んだ。

5月に修理したばかりのカメラだった。

思えば不憫なやつ。

憎むべきは歩道を暴走する自転車。

しかも下り阪でスピードが出ていたのだ。

電動アシスト自転車で乗っていたのが巨体の男だったと記憶する。

お年寄り(つまり僕らのような)に体当たりしてたらコロされる。

通り魔に遭ったようなものか。

人は一瞬にして運命が変わる。

自分とは関係の無い出来事で。

たまたま右手に持っていたカメラが犠牲になってくれた。

修理してあげられずカメラは無言の帰宅をした。

捨てるに忍びない。

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突然死したSONY CYBERSHOT WX350 通り魔にコロされた。

 

大林カメラの隣は上田商店である。

老舗の角打ちである。

午後4時、すでに営業している。

仕方ない。

大きな冷蔵庫から缶チューハイを自分で出して飲む。

カウンター、目の前にゆで卵がある。

ゆで卵とツナ缶。

もう一杯にごり酒をもらう。

 

ほろ酔いでリーブル梅田へ向かう。

「Mid 90s ミッドナインティーズ」@リーブル梅田

映画通のH田が当時の音楽を知らなくても映画としていいですよ、と勧める。

ラジオの映画評でも絶賛されている。

ジョナ・ヒル初監督作品、長さも75分とコンパクトでいい。

主人公はローティーンのスケボー少年。

90年代、スケボー、アメリカ西海岸 と聞いて思い出がひとつある。

正確に言うとスケボーではなくBMXなのだが。

1995年10月16日の旅の日記にある。

その日、僕は北カリフォルニアの海沿いの街にいた。

マウンテンバイクを借りて泊まっていたモーテルからカーメルという街を往復した。

気持ちのいい真夏のような秋の日だった。

西海岸では暦の夏は海霧が発生して冷えこんだりする。

10月あたり晴天率がよく気温も上がるらしいのだ。

カーメルからの帰路、住宅地を走っていると少年に声をかけられた。

「あの橋があるだろ?そこから少し登ったトップからのダウンヒルは最高だぜ ブラザー」

もう帰らないといけない時間だったがあまりにノリがいいのでつき合った。

いっしょに坂の上までヒルクライムした。

彼の名前はカイル、僕はヒロシ、恥ずかしながら当時38歳だった。(笑)

「どこに住んでるの?」「PG(ピージー)さ」

パシフィックグローブという街、泊まっているモーテルもPGにあった。

ヒルトップからカイルは「イヤッホー!」と叫声を上げて下り始めた。

僕もカイルのBMXのあとにつく。

38歳のおっさんが何やってんだ?

ダウンヒルなのにカイルはペダルを回している。

あっという間に離される。

カイルはものすごく低い姿勢でスピードを上げていく。

向こうから車が登ってきた。

クラクションが鳴る。

カイルのBMXはスレスレのところをすり抜ける。

クレージーガイ!

僕はブレーキを思いっきりかけて路肩に寄った。

カイルは猛スピードで視界から消えていった。

それだけの話。

その日の日記にこう書いた。

ー 38歳の僕が北カリフォルニアでアメリカの少年とバイクでスリリングなダウンヒルをしている。

バスをひとつ乗り過ごすと前のバスに乗った自分とはまったく違う人生が待っている。

「ミッドナインティーズ」の予告編を見てPGのクレージー・カイルのことを思い出した。

1995年、まさにミッドナイティーズだから。

 

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「ウルフ・オブ・ウォールストリート」などの俳優ジョナ・ヒルが初監督・脚本を手がけ、自身が少年時代を過ごした1990年代のロサンゼルスを舞台に、13歳の少年の成長を描いた青春ドラマ。シングルマザーの家庭で育った13歳の少年スティーヴィーは力の強い兄に負けてばかりで、早く大きくなって見返してやりたいと願っていた。そんなある日、街のスケートボードショップに出入りする少年たちと知り合ったスティーヴィーは、驚くほど自由で格好良い彼らに憧れを抱き、近づこうとするが……。「ルイスと不思議の時計」のサニー・スリッチが主演を務め、母を「ファンタスティック・ビースト」シリーズのキャサリン・ウォーターストン、兄を「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のルーカス・ヘッジズがそれぞれ演じる。

2018年製作/85分/PG12/アメリカ

 

あかん!

寝落ちしてしまった。

映画の流れについていかなかった。

前半10分くらいで缶チューハイとにごり酒の酔いで心地よくなって意識が消えた。

残り30分くらいで目が覚めたのだけど、そこから見始めても良さが全然わからなかった。

いつのまにか終わっていた。

自滅。

ときどきある。

それほど飲んじゃないと思ったので大丈夫だと思っていた。

シニア料金1200円をどぶに捨てたのはジョナ・ヒルのせいじゃない。

見終わって劇場を出るとき痛風の足が痛んだ。

 

新梅田食道街の「よろずや」で独酌。

おいしいけど立ち飲みにしては酒が高い。

山鶴の熱燗、おでん2種、宗玄の冷えたの、蛍烏賊の炙り。

2010円也。

帰宅して、まぐろの味醂干しを炙ってもらう。

大信州の活性濁りを飲む。

やっぱり家吞みが経済的、かつ美味しい。

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鮪の味醂干し胡麻まみれとスパークリング大信州