2023年12月26日、天理へ行ったときのことです。
寒い日の鍋焼きうどん。
この温もりを求めて、しばし僕の徘徊は続いた。
そして、たまたま、先輩を訪ねた奈良の天理で願いは叶った!
近鉄の大和西大寺駅に着いたのが昼の12時過ぎ、まだ腹は減っていない。
天理まで移動してから何か食べようと思い、iPhoneで検索する。
あったかいものだったら何でもいいや、と探していると駅前の商店街に蕎麦の「更科」があった。
もしかして?
と食べログでメニューを見ると…。
鍋焼きうどんがあった。
千載一遇、満願成就、願ったり叶ったり。(意味不明ですが)
天理駅でブロンプトン(折りたたみ自転車)を1分で組みたて店へ急ぐ。
昔ながらのアーケードの商店街、シャッターが下りた店もあるが、意外にも昔ながらの個人商店が頑張っているという印象。
天理教の宗教都市でもあり、大資本が入りにくい土地 ということもあるのだろう。
信徒や市民が地元を支持しているということかも。
地方都市はどこも高齢化が顕著だがアーケードを歩くと若い人が多い。
天理大学や天理高校は全国から集まってくる。
店内は広かった。
端に四人テーブルが空いていた。
店を見渡せる良席。
土佐鶴を飲んでいるとすぐに到着。
鉄鍋だった。
期待した煮えたぎるグツグツ感はなかったが、具が満載なのは嬉しい。
なべ焼きうどんの具をアテに冷酒をちびちびやる。
これがしかたった。
ある落語家さんから、桂米朝さんが好きな飲み方だったと聞いたことがある。
和食で吞むときは警察小説がしっくりくる。
今野敏、佐々木譲、横山秀夫…。
きょうは米澤穂信「可燃物」を読む。
米澤穂信にしては珍しく刑事が主人公の犯罪もの。
船戸与一にはウイスキー、それもストレートかロックが似合う。
亡くなってしまったので新作が読めないのが残念だ。
再読なら何がいいだろう。
そういうことを考えるのも愉しい。
寒い日の鍋焼きうどんと冷酒、至福。
食べ進めるうちにうどんの中から煮えた卵が出てきた。
食べ終わろうとする頃、老夫婦が入ってきた。
二人ともかなりの高齢、八十代だろうか。
席に着く前に奧さんが店員に尋ねる。
「木の葉丼はないの?」
店の外にあるサンプルにはなかった。
店員は「メニューにはありませんが、聞いてきますね」と厨房へ。
ほどなく「出来るそうです」と。
老婦人が「ほんなら下さい。木の葉丼が食べたかったんで嬉しいわ」
木の葉丼とは?
木の葉丼は玉子丼の一種であり、薄く切ったカマボコやシイタケを具材に用い、彩りに三つ葉やネギを加えるのが特徴である。主に関西で食されており、安価でうどんとの相性も良いのでうどん屋の定番メニューとなっているほか、家庭料理としても食される。その一方で、関西以外の地域での知名度は低い。
木の葉は贅沢なご馳走ではない。
おそらく賄いからメニューになった献立だろう。
でも、ちょっと食べたくなった。
その老婦人の木の葉丼は、僕にとってのなべ焼きうどんなのだ。
酔鯨と鍋焼きうどん 1980円。
満足です。
やっとありつけた鍋焼きうどん。
欲を言えば「更科」のなべ焼きは贅沢過ぎた。
勝手な理想を言えば…
・鉄鍋ではなく安っぽいアルマイト鍋がいい。
・出てきた時に危ないくらいグツグツしてて欲しい。
・具は葱と蒲鉾(竹輪)鶏肉と卵だけでいい。
・1000円以下であって欲しい。
まだまだ、理想のなべ焼きうどんの旅は続くのであります。(笑)