6時起床、iPhoneのめざましで起きる。
年寄りは早起きなんていうけど、それはリタイア生活してる人の話ですよね。
僕らのように不規則な仕事してたら朝は眠りたい。
(眠るのも体力が必要なんです)
予定通り6時半に家を出た。
6時58分発の電車に乗る予定。
ところが!
駅の直前になってiPhone(スマホ)がないことに気がつく。
忘れた!
今日の仕事は連絡、原稿送りを含めてiPhoneなしでは話にならない。
戻る。
一本遅れても、ま、何とかなる。
大阪へ出て地下鉄四つ橋線で住之江公園へ行く。
大国町、花園町、岸里、玉出、北加賀屋の駅名を聞くと若き日の思い出がよみがえる。
21歳の4月、金沢から夜行列車で大阪へ出た。
南港から沖縄行きのフェリーに乗るべくこの四つ橋線に乗った。
早朝に聞いた聞き慣れない駅名が、大国町、花園町、岸里、玉出、北加賀屋だった。
あの印象はバンバン直後に忘れていく老いぼれ脳にもなぜか残っている。
若き日の沖縄への船旅そのものが忘れがたいものだから。
1979年だった。
30年が経つ。
え?
なんか笑っちゃいますね。
あの沖縄へのフェリーに乗ろうとしてた大学生の自分が還暦を越えて30年後のきょう、
なぜか高校野球の取材で同じ地下鉄に乗って、駅名のアナウンスを聞いている。
きょうの現場は住之江公園野球場。
初めての球場でした。
試合開始の45分前には到着した。
ノートパソコンを出して、資料を出して、スコアシートを用意して、
あれ?
あれあれ?
iPhoneがない。
慌てずにカリマーのバックパックを探す。
あれ?
この球場に入る前にビブスを取り出したときにどこかへ置いたのか?
その現場へ戻るがない。
挨拶したばかりのカメラマンに電話してもらう。
記者室の朝日新聞の担当にもかけてもらうがわからず。
大会本部に問い合わせるが…。
焦る。
地下鉄の電車に置き忘れた?
いや下車してからグーグルマップを見た記憶が。
あれ?
MacBookが反応している。
インターネット共有でネットとつながっている。
テザリングが有効だ。
あれ?
あれ?
絶対近くにあるぞ。
あった!
資料ファイルの下になってた。
なんでわからない?
記者室にきょう初めてやってきて挨拶もそこそこにスマホなくして大騒ぎ。
面倒くさいおっさんやね。
もう首にかけておけ!
鮭のほぐし身に、炒り卵、牛肉のしぐれ煮です。
野球の試合のニュース原稿はかつて年間100試合以上書いていた。
いまは、ここ数年は1年でこの高校野球ダイジェストの数試合だけだ。
最初の一日は感覚を戻すだけで精一杯だ。
表現のボキャブラリーで乏しい。
あんまり凝った表現は使えない。
ストレートにシンプルにリズムよく、情報を少し加える。
第1試合、iPhone紛失の件で心乱れて始まる。
いきなり1塁ベンチ前の円陣から大きな声、今宮高校だ。
「梅雨空の下、住之江公園にひときわ元気な声が響き渡ります。
今宮と堺工科、府立高校同士の対戦は白熱した好ゲームとなりました。」
と書いてスコアをつけ始める。
iPhone騒ぎで事前取材が出来ず情報は少ないまま。
結果、サヨナラゲームとなる。
担当したもう1試合は第3試合。
前は3試合連続だったので休む暇もなかったが1試合インターバルがあると楽。
連続だと次の試合が始まっても原稿が終わらない。
スコアシートがすべての情報源なのでちゃんと書いておかないと後で困る。
3試合目は事前取材するも原稿に活かせず不完全燃焼のまま編集に入る。
パッとしない構成と原稿だったなあ。
かつてはこの手の仕事ではオイラも目立つ存在だった。
福岡のユニバーシアードとか、青森の冬季アジア大会とかのチーム。
なんか引退間際のロートル選手の気分。
ま、その通りなんですけどね。
編集を終えてロケ弁の塩鯖弁当を食べてスタジオを辞す。
雨が降っている。
西ノ宮駅からタクシーで帰宅。
雨の日に駅からのタクシー帰宅は何年ぶりだろう。
つかれているときむりはしない。
疲れていても疲れているがゆえに飲まずにはいられない。
ブラックニッカでロックを一杯、ハイボールを一杯飲む。