ぷよねこ減量日記 since 2016

結果が、最初の思惑通りにならなくても、そこで過ごした時間は確実に存在する。そして最後に意味をもつのは、結果ではなく、過ごしてしまった、かけがいのないその時間 である。 (星野道夫)

2022/12/30 (土) 「フラッパー」と初恋

イラストも松尾諭 武庫川レインボー団地をミナトが疾走する画かな?

【 12.30 日録 】

ことし残すところ今日と明日の2日。

午前中は昨日の日記を書き、年明けに作業するテロップ原稿を書き終える。

午後から出社して別の番組の編集チェックを済ませる。

熱々のおでんが食べたいなと思いつつ店を探すが西宮駅前の「万」のカウンターは満席。

ソト飲みはきのう〆ただろ、と自分にツッコミ、思い留まる。(笑)

ヒロは年始に向けいろいろと準備に大忙しなので「おでん食べたい」とは言えねえな。

結局、近所の「丸亀製麺」でかけうどんの小と竹輪の磯辺揚げにした。

400円で得られる満足度はかなり高い選択です。

 

松尾諭「フラッパー」読了。

トイレ本にして十数ページずつ読んでたが、面白いので最後は持ちだして読み、

最後のエピローグは寸止めして、夜中に味わうように読み終えた。

そういう読み方をする本は年に3冊くらいしか出会えないけど、これはその一つ。

 

「拾われた男」でハマった松尾諭の“自伝風”小説。

小説の舞台は僕が第2の青春期(?)を10年以上過ごした武庫川レインボー団地。

モテない男の中学から高校時代(これがメイン)、大学、中退後の上京後までの物語。

Netflixの「first love 初恋」とこの小説「フラッパー」で否応なく自分の初恋を思い出した。

はっきりと憶えている。

高校2年の冬休み、相手は同じ高校の子ではなく、バイト先で知り合った子だった。

田舎町のジーンズショップのバイト、ひとつ下の1年生。

名鉄刈谷市駅前(通称 市駅)の商店街にショップの支店があり、あるとき二人っきりになった。

互いに高校は違ったが、話が弾んで二人して大いに笑った。

相性はいい、と思った。

幸せな面持ちで帰宅して、好きになった、とはっきりと自覚した。

自意識の高い高校生、それから悶々として告白することも出来ず。

冬休みが終わってから思い立って手紙を書いた。

何度もためらいつつ投函した寒い夜のことを憶えている。

一週間、二週間、一ヶ月、返事は来なかった。

夏休みになって、また会えるかもと同じバイトについた。

たまたま二人っきりになった。

何も言えなくて二人とも二言三言交わしただけだった。

何を話したかは記憶から消している。

身もだえしそうな17歳の思い出。

「フラッパー」の主人公(松尾自身)はいい。

カワイイ子だな、つき合いたい!と思ったら手当たり次第に告白した。

そのたびに「友だちやから」「ごめんな」と振られ続け、連敗記録を更新する。

一ヶ月くらいは落ちこむが、すぐに立ち直る。

楽しそうな青春やなあ、と羨ましく読んだ。

小学6年生の夏、マンモス団地「ニジノマチ」に引っ越した。

恋しては振られ、告白しては振られること14人。

でも隣にいるあの子にだけは、告白しなかった。

恋じゃないつもりだったーー

笑って泣ける、「自伝風」小説!

帯にある“あの子”は「拾われた男」では食堂の娘の野本さんだろう。

「フラッパー」ではミナトという中学一の美少女で、主人公の松尾とは

“上の話から下の話まで何でも話し合える仲” (「拾われた男」より)だった。

ドラマで野本さんを演じた片山友希を思い浮かべながら読んだ。

僕もミナトが好きになっていた。

文章がうまいなと思った。

面白おかしい中高の失恋話は漫才を聞くようにテンポが良く、ドライブ感にあふれ、

後半の『例文ノート』の下りにはマジで涙を誘われ、エピローグは鳥肌が立つほど美しい。

才能ありますね松尾さん。

 

高校時代に読んで武田鉄矢の「ふられ虫の唄」を思い出した。

 

折しも西宮市の市報に松尾諭のコラムが載っていた。