ぷよねこ減量日記 since 2016

結果が、最初の思惑通りにならなくても、そこで過ごした時間は確実に存在する。そして最後に意味をもつのは、結果ではなく、過ごしてしまった、かけがいのないその時間 である。 (星野道夫)

2022/01/17 (月) 中2日で『う』欲を満たす

トンガで海底火山が噴火、一日経って日本にも津波警報が発令。

コロナでややこしい時期だからそういうの後にしてくれないか、と言いたいけど、

コロナはコロナの都合で拡大するし、地球は地球の都合で爆発する。

人間なんか関係なし。

というのが自然の理です。

わかっちゃいるけどなんで今?と思ってしまう。

こんな科学が進んだ時代でも通信が途絶えたら現地と連絡がつかなくなるのか…。

携帯電話を失くしたのとわけが違うが、岡山で落としたとき世界と断絶した感覚になった。

いま、この瞬間にだって大地震や噴火はありうる。

やるべきこと、やりたいことは今やろう。

余命3ヶ月システムは今こそ有効性があると自画自賛。

社会全体がそうなったら困るけど。

てなことで…今日は午後から心斎橋で映画「ヨンヒへ」を見て、堺筋線で天六へ移動。

天五の「魚伊」でうな重を食べて、3年ぶりに堂山町のアフターアワーズへ顔を出す。

震災27年目の日に、残された余命を存分に、我が儘に。楽しむ。

 

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6時半過ぎに訪問、まだ3年前のボトルを残しておいてくれた!

 

元町で食べたうな重に満足できず、なんと中2日で天満の「魚伊」へ行く。

蒸しなしの地焼きの香ばしい蒲焼き(上)に満足出来ました。

これで『う』欲は満たされた。桜が咲く頃までは『う』は封印できる。

ここ「魚伊」はおいしい地酒がワンカップで飲めるところもいい。

カウンターひとつ飛ばしの席のオヤジは地元民らしく、熱燗2合と半助豆腐にだし巻き。

うな重並で締めていた。

「半助豆腐がある店なんてあんまりないで」とのこと。

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もう『う』はこの店だけでいいな。今日は奥播磨で。

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うな重(上)2950円 うなぎ3分の2尾だそうです。

なんとか隔日でジョグは続いている。

*以下、ジョギング中の写真を数枚アップします。

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2022/01/17 (月) 27年前のムーンライト3

去年9月、ソロキャンプをした。
モンベルのムーンライト3という緑色のテント。
3人用とあるが、快適に過ごすには大人なら2人までかな。
27年前の今日、このテントの中に寝ていた。

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去年9月 @能勢自然の森ファミリーキャンプ場
1995年1月16-17日 六甲山中、市ヶ原の野営場。
登山仲間のミネーロと耐寒訓練と称して酒飲み縦走キャンプ。
確か前日は西区にあったミネーロ宅に泊まり、しこたま飲み、遅く起きて、菊水山から登った。
 
夕方、極寒の中、焚き火もせずにモツ鍋を食い、焼酎のお湯割りを飲んだ。
しまいには焼酎を直燗して飲んだが、身体はすぐに冷えた。
寝袋に入って寝るしかなかった。
 
真っ暗の中、山が動いた。
地鳴りが起こり、数十頭の馬の群れがテントの周りを走り抜けていくような爆音がした。
やがて激しいタテ揺れ、寝袋の僕らは中華鍋で炒められる具材みたいだった。
揺れがおさまっても外は真っ暗で、生きてる心地がしなかった。
やがて夜が明け、ムーンライトの周りには人の頭ほどある岩がゴロゴロしていた。
 
それが27年前、このテントの中での出来事。
もしかしてムーンライトはその日がデビューだったかも…。
 
27年前のその日、テント泊した写真が一枚もない。
当時、その程度のイベントではわざわざカメラを持ってなかったのだ。
デジタルカメラも普及していなかった。
今では誰もがスマホを持って毎日のように撮っている。
それが27年という長さで、隔世の感がある。

2022/01/16 (日) 福袋と王将とスタン・ゲッツ

トイレ本にして再読している岸本佐知子さんのエッセイ集「気になる部分」が面白い。

岸本さんはかつて洋酒メーカーに勤めていて年末年始に福袋の販売業務を担当した。

年々、エスカレートしていく福袋お買い求め客の欲望を面白おかしく書いてます。

ヒロと話す。

昔は福袋の中身を見せろなんて誰も言わなかったと思う。

中身はお楽しみ、それが福袋だから。

でも昨今はそうではないらしい。

岸本さんは恐ろしかったという。

「中身が気に食わないと怒る人、一家総出で並んだら中身が重複したと怒る人、あっちの奴のほうがいいものが入っていたと怒る人、福袋を買った人は必ず怒る」

恐るべきコンシュマーハラスメント!

ヒロ曰く、いまの福袋は中身を見えるというのが当然のスタイルらしい。

それって福袋なの?

岸本さんは続ける。

「蛍光ピンクのXLのセーターだの、くりからもんもんの柄のシャツだの、どう考えても売れる見込みのない品々を袋に混ぜて入れたもの、それが福袋である。冷静に考えて5万円で売れるものを2千円で売るはずがないのである。…私は福袋によって人間の業の深さをつくづく思い知らされたのである。」

人生に一度だけ福袋を買ったことがある。

イチロー特番の仕事で東京の年越しをした。

メジャーリーグへ行く前だから1990年代後半。

逗留していた渋谷のホテルの近くにエディーバウアーがあって衝動的に福袋を買った。

サイズは表示してあったと思う。

他に何が入っていたかは憶えていないが一点、デニムのブルゾンが入っていた。

普段なら買わない類のものだったが、袖を通すと悪くない。

あくまで自己評価だが。

裏地がフリースだったかボアだったかで暖かい。

年越しはそのデニムを着て、ちょっと新鮮な気持ちで過ごせた。

そういうのが福袋だと思う。

スズキナオの近著「遅く起きた日曜日にいつもの自分じゃないほうを選ぶ」があるが、

まさに福袋っていつもの自分じゃないほうを選ぶツールなのかも?

福袋でいつか伊集院光のラジオで聞いた話を思い出した。

「餃子の王将」が東京に出店してまもない頃、ランチに行列が並ぶほどの人気で、

東京ではそうなのかとちょっとした驚きがあったことと、500円の日替わり定食に

あるおばさんが「この定食の唐揚げ、春巻きに替えて下さらない」と言ってるのを

聞いて、伊集院が心の中で「王将とかでそういうのナシだから」と突っこんだと。

そうですよね。

だから安いのに。

同じ材料を大量に仕入れて大量に売れるから安いのにと。

そういう人はフェアトレードという概念はないんだろうな。

 

てな話で始まった2022年3回目の日曜日。

午前中に走り、午後から都道府県対抗女子駅伝の中継をがっつり観て、

夕方に「村上ラジオ」で特集されていたスタン・ゲッツを聴く。

最晩年のアルバムPeople Time をしんみりと聴きながら過ごした。

ラジオではそのアルバムからチャーリー・ヘイデンのファースト・ソングという曲が流れた。

聞き覚えのある曲だった。

以前、よく聴いていたパット・メセニーとのデュオアルバム「ミズーリの空高く」

にもこのファースト・ソングが収録されている。

 

      

ラジオで流れたスタン・ゲッツのテナー版がいい。

肝臓癌の末期で、ゲッツはこのライブの3ヶ月後に亡くなる。

Apple Musicでもamazonミュージックでも3枚組のアルバムが聴ける。

1991年3月3日 コペンハーゲンのジャズハウスでのライブ。

かなしくさみしく美しい演奏です。

 

     

 

ファーストソングを聴きながら海を見よう。

日没直前にロードバイクで御前浜へ行き、海辺の芝生にすわって聴いた。

 

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午後5時、図書館に本を返してコンビニで100円珈琲を買った。

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スタン・ゲッツのFIRST SONG を聴きながら…。

*以下、フォト日記で。

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2022/01/15 (土) ユルく過ごす小正月

きょう土曜日、特にやるべきことはないと自分に言い聞かせる。

ジョギングもせず、どこへも行かず、日がなぼんやりして過ごすと決めた。

 

毎日がほぼそれに近いじゃねえか、っていうのは言いっこなしね。(笑)

 

Netflixでなんか肩の凝らないものを見よう。

で、「るろうに剣心 伝説の最期編」を見る。

このシリーズの最終章か。

そういえば去年公開されてたな。

わざわざ劇場へは行かないけど見放題なら…と見始めた。

家で見てると何度か中断される。

そのたびにフラッシュバックのように記憶の断片が脳裏をかすめる。

でも、一瞬で消える。

これってもしかして……と日記の検索窓に「るろう」と入れてみる。

いくつかヒットした。

「伝説の最期編」があった!

2015年7月22日、6年ほど前だ。

2015/7/22 薩摩おごじょの三姉妹 - ぷよねこ減量日記 2009/5-2016/1

この頃はまだDVDで観ていて『六月燈の三姉妹』という映画を観たあとにこう書いてあった。

「るろうに剣心 伝説の最期編」を見る。

まあ、これは見ても見なくてもいいかって感じのフィナーレでした。

この3部作は最初のが一番まともかな。

30分ほど観たところでした。

過去の自分の助言に従い、ここで観るのをやめておく。

見てもいいかな、とも書いてるので見てもよかったんだけど。(笑)

 

キッチンから独特の匂いが漂ってくる。

なんだろ? と思って食卓に呼ばれたら長葱を炒めた匂いだった。

すき焼き用の肉とねぎの炒めもの。

そうか、すき焼きの匂いだったんだ。

きょうは小正月で小豆粥です。

ヒロはこういう歳時記的な献立は大切にします。

旅をする道中、路傍の地蔵さまに花を供えるような行ない。

こういうのってちゃんとしないと生きている今という時の価値も半減する。

(最近、こういう表現がうまく出来ない、すみません)

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家にこもってユルく過ごす。

とは言え iMacに向かいっぱなしで、なんやかんやWEB作業(仕事)に手をつけてしまう。

夜に届いたオリックスの選手の自主トレ記事や未公開インタビューの編集などなど。

それでもホワイトボードに記した、自重筋トレ、ラジオ体操、ストレッチは(済)。

身体も休ませたし、“ま いいか” な一日でした。

 

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そういえばマサオからこんなLINEが届く。

気丈にふるまってますが内実はヘトヘトです。部屋に帰り着いても1時間ぐらい何もする気が起きないのです。更にここ数日は不眠症気味です。やばい!

毎日の労働でくたくたなのに眠れないと。

僕が東京の請負仕事で精神的に追い詰められていた時を思い出す。

不眠症ではないが、早朝必ず、ハッと目が覚めた。

時計を見ると決まったように午前4時だった。

それがほぼ毎日。

その仕事から逃げたら…とたんに収まり、ぐっすり眠れるようになった。

マサオ、心配だ。

話を聞いてあげるだけでも。

2022/01/14 (金) DRIVE MY CAR @リーブル神戸

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DRIVE MY CAR @リーブル神戸

「ドライブ・マイ・カー」をようやく捕まえた。

3時間近い長さにもかかわらず評判がいいので去年の秋にも何度かトライしたが、

その頃、キンキューが解除されて映画館よりあちこち出歩いて劇場鑑賞は後まわし、

結局は長尺のせいもあって捕り逃し、上映館、上映回数も激減して風前の灯だった。

ところが、ここに来ての受賞ラッシュで復活、何館か再上映するようになった。

混むかも、と梅田のテアトルとか心斎橋のシネマートは回避、リーブル神戸をネット予約した。

リーブル神戸は一日2回、ミニシアター系のシネコンだが141席の一番大きなスクリーン上映、

隣がいない通路側のシートを予約したので隣りに誰も来なかったが、そこそこ入っていた。

目算で半分くらいかな?

いつも空いているリーブル神戸にしては盛況だった。

去年ナナゲイで観た「モルエラニの霧の中」は4時間近かったがインターミッションがあった。

予告編を合わせていっきに3時間以上、尿意との戦いが始まった。

 

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村上春樹の短編小説集「女のいない男たち」に収録された短編「ドライブ・マイ・カー」を、「偶然と想像」でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞した濱口竜介監督・脚本により映画化。舞台俳優で演出家の家福悠介は、脚本家の妻・音と幸せに暮らしていた。しかし、妻はある秘密を残したまま他界してしまう。2年後、喪失感を抱えながら生きていた彼は、演劇祭で演出を担当することになり、愛車のサーブで広島へ向かう。そこで出会った寡黙な専属ドライバーのみさきと過ごす中で、家福はそれまで目を背けていたあることに気づかされていく。主人公・家福を西島秀俊、ヒロインのみさきを三浦透子、物語の鍵を握る俳優・高槻を岡田将生、家福の亡き妻・音を霧島れいかがそれぞれ演じる。2021年・第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、日本映画では初となる脚本賞を受賞。ほか、国際映画批評家連盟賞、AFCAE賞、エキュメニカル審査員賞の3つの独立賞も受賞した。

2021年製作/179分/PG12/日本 配給:ビターズ・エンド

 

終盤、尿意に脅迫されたが途中退席することはなかった。

いつまでも見ていられる3時間でした。

物語にドライブ感やうねりらしきものは少ないのに退屈はしなかった。

原作となっている村上春樹の3本の短編(表題作含む)は読んでいいないけど、

主人公の西島秀俊を始め、キャストが作る空気が村上春樹の世界観に近かった。

抑制されたトーンの会話に静かな説得力があった。

脚本とキャストの存在感の勝利だろう。

空はいつも薄曇りでいわゆるピーカンになることはなかった。

(僕の記憶では。もしかしてあったのかも?)

 

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ドライブ・マイ・カー、車の二人が終盤に煙草を吸う。

銘柄はわからないが、美味しそうに吸う。

罪悪感を背負うふたりの共感があのシーンだろう。

(このあたり尿意がピークでしたが(笑))

 

配役(俳優)が全員よかった。

演技がいいとかではなく彼ら彼女らの存在感がいい。

車の二人以外にも、霧島れいかと韓国人俳優のふたりがいい。

ジン・デヨンとパク・ユリムのふたり。

もしかして村上作品と韓国人俳優は相性がいいのかなと思ってしまった。

「納屋を焼く」を映画化した「バーニング」も韓国映画だった。

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霧島れいかという女優を初めて見た。雰囲気のあるきれいな人でした。

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左が台湾人女優のソニア・ユアン、右がパク・ユリム

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オーディションのシーン パク・ユリムは手話で配役を得た。

中でもイ・ユナ(パク・ユリム)にひとめぼれしてしまった。

あの韓国語の手話をしながら相手の目をしっかり見つめるシーン。

けっこう長いのだけどこの映画そのものと同じで “いつまでも見ていたい” と思った。

ネタバレになっちゃうけど…(以下注意)

 

映画の中でもう一人の韓国人ユンス(ジン・デヨン)と夫婦を演じている。

広島郊外のその家庭の様子(犬を飼っている一軒家)がなんとも温かくていい。

ユンスにマジで嫉妬した。

この人と結婚したい!

ま、こういうことが臆面も無く言えるのが還暦過ぎのじじいの証拠。

でも、それがこの映画のキャスティングの力だと思う。

どうしようもないレビューですいません。

僕の読解力不足、表現力不足、文化スペックの著しい減衰が原因です。

この作品のせいではありません。

 

ことし初めての劇場鑑賞。

やっぱり劇場まで足を運んで、映画の前後もコミで映画鑑賞なんだろうな。

神戸元町、エビアンの珈琲とプリン、ドライブ・マイ・カー、煙草と手話、うな重…

そういえば昔は旅先で映画をよく観た。

長くあてもない旅が多かったせいだろうな。

たとえば、那覇で観た「マザーウォーター」とか、「アンストッパブル」とか。

市場の奥にある公園の前の小劇場やモノレールで郊外へ行った新都心にあるモールのシネコン。

旅先で見ると旅とコミで思い出に刻まれる。

またどこかで知らない街で映画を観よう。