DRIVE MY CAR @リーブル神戸
「ドライブ・マイ・カー」をようやく捕まえた。
3時間近い長さにもかかわらず評判がいいので去年の秋にも何度かトライしたが、
その頃、キンキューが解除されて映画館よりあちこち出歩いて劇場鑑賞は後まわし、
結局は長尺のせいもあって捕り逃し、上映館、上映回数も激減して風前の灯だった。
ところが、ここに来ての受賞ラッシュで復活、何館か再上映するようになった。
混むかも、と梅田のテアトルとか心斎橋のシネマートは回避、リーブル神戸をネット予約した。
リーブル神戸は一日2回、ミニシアター系のシネコンだが141席の一番大きなスクリーン上映、
隣がいない通路側のシートを予約したので隣りに誰も来なかったが、そこそこ入っていた。
目算で半分くらいかな?
いつも空いているリーブル神戸にしては盛況だった。
去年ナナゲイで観た「モルエラニの霧の中」は4時間近かったがインターミッションがあった。
予告編を合わせていっきに3時間以上、尿意との戦いが始まった。
村上春樹の短編小説集「女のいない男たち」に収録された短編「ドライブ・マイ・カー」を、「偶然と想像」でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞した濱口竜介監督・脚本により映画化。舞台俳優で演出家の家福悠介は、脚本家の妻・音と幸せに暮らしていた。しかし、妻はある秘密を残したまま他界してしまう。2年後、喪失感を抱えながら生きていた彼は、演劇祭で演出を担当することになり、愛車のサーブで広島へ向かう。そこで出会った寡黙な専属ドライバーのみさきと過ごす中で、家福はそれまで目を背けていたあることに気づかされていく。主人公・家福を西島秀俊、ヒロインのみさきを三浦透子、物語の鍵を握る俳優・高槻を岡田将生、家福の亡き妻・音を霧島れいかがそれぞれ演じる。2021年・第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、日本映画では初となる脚本賞を受賞。ほか、国際映画批評家連盟賞、AFCAE賞、エキュメニカル審査員賞の3つの独立賞も受賞した。
2021年製作/179分/PG12/日本 配給:ビターズ・エンド
終盤、尿意に脅迫されたが途中退席することはなかった。
いつまでも見ていられる3時間でした。
物語にドライブ感やうねりらしきものは少ないのに退屈はしなかった。
原作となっている村上春樹の3本の短編(表題作含む)は読んでいいないけど、
主人公の西島秀俊を始め、キャストが作る空気が村上春樹の世界観に近かった。
抑制されたトーンの会話に静かな説得力があった。
脚本とキャストの存在感の勝利だろう。
空はいつも薄曇りでいわゆるピーカンになることはなかった。
(僕の記憶では。もしかしてあったのかも?)
ドライブ・マイ・カー、車の二人が終盤に煙草を吸う。
銘柄はわからないが、美味しそうに吸う。
罪悪感を背負うふたりの共感があのシーンだろう。
(このあたり尿意がピークでしたが(笑))
配役(俳優)が全員よかった。
演技がいいとかではなく彼ら彼女らの存在感がいい。
車の二人以外にも、霧島れいかと韓国人俳優のふたりがいい。
ジン・デヨンとパク・ユリムのふたり。
もしかして村上作品と韓国人俳優は相性がいいのかなと思ってしまった。
「納屋を焼く」を映画化した「バーニング」も韓国映画だった。
中でもイ・ユナ(パク・ユリム)にひとめぼれしてしまった。
あの韓国語の手話をしながら相手の目をしっかり見つめるシーン。
けっこう長いのだけどこの映画そのものと同じで “いつまでも見ていたい” と思った。
ネタバレになっちゃうけど…(以下注意)
映画の中でもう一人の韓国人ユンス(ジン・デヨン)と夫婦を演じている。
広島郊外のその家庭の様子(犬を飼っている一軒家)がなんとも温かくていい。
ユンスにマジで嫉妬した。
この人と結婚したい!
ま、こういうことが臆面も無く言えるのが還暦過ぎのじじいの証拠。
でも、それがこの映画のキャスティングの力だと思う。
どうしようもないレビューですいません。
僕の読解力不足、表現力不足、文化スペックの著しい減衰が原因です。
この作品のせいではありません。
ことし初めての劇場鑑賞。
やっぱり劇場まで足を運んで、映画の前後もコミで映画鑑賞なんだろうな。
神戸元町、エビアンの珈琲とプリン、ドライブ・マイ・カー、煙草と手話、うな重…
そういえば昔は旅先で映画をよく観た。
長くあてもない旅が多かったせいだろうな。
たとえば、那覇で観た「マザーウォーター」とか、「アンストッパブル」とか。
市場の奥にある公園の前の小劇場やモノレールで郊外へ行った新都心にあるモールのシネコン。
旅先で見ると旅とコミで思い出に刻まれる。
またどこかで知らない街で映画を観よう。