令和の時代小説の新潮流「神山藩シリーズ」第二弾!
~「神山藩シリーズ」とは~
架空の藩「神山藩」を舞台とした砂原浩太朗の時代小説シリーズ。それぞれ主人公も年代も違うので続き物ではないが、統一された世界観で物語が紡がれる。
第165回直木賞、第34回山本周五郎賞候補『高瀬庄左衛門御留書』の砂原浩太朗が描く、
陥穽あり、乱刃あり、青春ありの躍動感溢れる時代小説。
道は違えど、思いはひとつ。
政争の嵐の中、三兄弟の絆が試される。『高瀬庄左衛門御留書』の泰然たる感動から一転、今度は17歳の武士が主人公。
神山藩で代々筆頭家老の黛家。三男の新三郎は、兄たちとは付かず離れず、道場仲間の圭蔵と穏やかな青春の日々を過ごしている。
しかし人生の転機を迎え、大目付を務める黒沢家に婿入りし、政務を学び始めていた。
そんな中、黛家の未来を揺るがす大事件が起こる。
その理不尽な顛末に、三兄弟は翻弄されていく。
自分が時代小説を愉しく読んでいるということを二十代、三十代の頃は想像しただろうか?
テレビも新聞も電話もパソコンもスマホもない国で、日々うつろう季節を肌で感じながら、
家族とともに穏やかに生きるという人生を想像する。
いいなあ…とは思うものの、当時の現実は政敵あり、家を守る犠牲も多大で苛烈そのものだ。
戦国時代でなくとも人生は闘争だった。
前作「高瀬庄左衛門御留書」でもそうだった。
が、今作は小藩の筆頭家老の家に生まれた三兄弟の話。
のんびりした隠居暮らしが出来るわけもない。
武家とは苛烈な世界であるなあ、と改めて思う。
十数年前だったか、山本一力の「蒼龍」という短編集を読んだ。
ほとんどが職人、百姓が主人公だった小説だったが、一編だけ武士を主人公にした物語があり、
その小説だけ生き死にの様が苛烈で、武家だけはなりたくないよなあと思った記憶が甦る。
この三兄弟は小藩ながら筆頭家老の子息、上級武士はまこと窮屈で息苦しいものだ。
その中でも穏やかな日々や軽妙な会話やふれ合いもあり、物語として完成度は高い。
愉しく読んだ。年イチで読みたい神山藩の物語。映画化するなら…。
キャストを考えた。
長兄 伊勢谷友介 次兄 鈴木亮平 末弟(主人公)松坂桃李
どうだろうか?