ぷよねこ減量日記 since 2016

結果が、最初の思惑通りにならなくても、そこで過ごした時間は確実に存在する。そして最後に意味をもつのは、結果ではなく、過ごしてしまった、かけがいのないその時間 である。 (星野道夫)

2021/12/10 Fri. 西宮郷 角打ち巡礼 〜常連客のささやき ますや商店編 〜

西宮郷 角打ち巡礼の2店目は「ますや商店」です。

そもそも宮水とは西宮に沸く水のことで、灘の蔵の仕込み水の井戸はここに集まっている。

なんでも江戸時代、魚崎と西宮で酒造りをしていたが、西宮で造る酒の方が美味しかったらしい。

どこが違うのか?

水だった。

江戸時代、日本酒は夏を越すと味が落ちるというのが常識でした。ところが西宮で造る酒だけは、夏を越して秋を迎えるとますます味が良くなったため、「秋晴れ」すると称賛されていました。

その違いに着目した神戸魚崎村の酒造家山邑太左衛門が研究したところ、仕込み水の違いが原因であることがわかりました。西宮神社に程近い一部の地域のみで湧き出る六甲山系の良質な伏流水。

おいしい男酒の秘密 宮水 | 西宮観光協会

いま、僕らが歩いた道の先には各酒蔵の井戸がある。

白鹿、白鷹、日本盛などの西宮郷の蔵だけではなく、白鶴、菊正宗、沢の鶴といった

西郷、御影郷、魚崎郷、今津郷の酒造会社の井戸もここにある。

でも、どうやって運んでるのかな?

今もこの宮水を使って仕込んでるのかな?

 

さて、「ますや商店」です。

西宮駅への自転車通勤で店の前を通る。

以前にちらっと覗いたことはあるが、どんな店かは知らないまま20年近く経ってしまった。

初入店です。

事前に料理のメニューが凄いのは知っていた。

 

凄かった。

 

f:id:shioshiohida:20211210171744j:plain

ますや商店 左が店舗、右に酒場の入口がある。

このメニューをすべてカウンターの中のおかあさん一人で作る。

おとうさんは店番と酒を持ってくることだけに徹している。

酒は瓶や缶に値段が貼ってありわかりやすい。

揚げものはすでに揚げられてガラスケースにあるものとは別に短冊に揚げたてと記してある。

ハムカツや鰯のてんぷらは「揚げたて」だ。

f:id:shioshiohida:20211211111718j:plain

圧巻の短冊メニュー (食べログから写真を拝借しました)

f:id:shioshiohida:20211210175342j:plain

目の前におでん鍋、今日はあったかいので次にしよう。

アクリル板で仕切られていたが、僕らは連れなのでおかあさんが取り払ってくれた。

喉が渇いたのでビールからいこう。

お、サッポロラガーがある。

赤星とコップふたつお願いします!

居酒屋メニューが大好物なA部氏、この短冊メニューを見ているだけで酒が飲めるそう。

 

とはいえ、白菜の漬け物と揚げたてハムカツを注文する。

 

f:id:shioshiohida:20211210174016j:plain

ハムカツ! 辛子つきが嬉しい。

客は近所の常連らしき男女グループ、みんな家でくつろいでるような出で立ち。

会社帰りのスーツ族なんていない。

隣りも常連らしき男性のひとり客。

年齢は五十代後半か。

白ワインを揚げたての餃子でやっている。

我々がメニューを見ながらあれやこれやと話していると…A部氏の耳元で囁く。

A部氏が僕に伝言ゲームのように言う。

「ここは魚が旨い」ですって。

なぜかひそひそ声で。

聞かれたらまずいようなこと?(笑)

 

ふたたび口元に手をあてて耳元でささやく。

「まぐろやよこわがいい」

僕にも聞こえた。

それではと、まぐろの造り を注文する。

 

なるほど、いい鮪だ。

もしかしてよこわ(幼魚)かも?

やわらかくてねっとりと味も濃い。

これは日本酒でしょ。

 

f:id:shioshiohida:20211210174743j:plain

「ここは魚が旨い」の囁きに間違いはない。

 

土佐鶴もいいな、ここは白鷹かなと迷っていると常連さんがまたささやく。

「酒は惣花がいい」

え?

惣花は日本盛の純米吟醸。

日本盛はこのますや商店からほど近い。

間髪を入れずウイスパー。

「惣花がこの値段ではなかなか飲めない」

さっきのユアサの常連さんは普通の音量でオススメを言ってくれたが、隣の常連さんは囁く。

なぜ囁くのか?

ノムさんのささやき戦術か(笑)

可笑しいけどなぜか楽しい。

A部さんまたその囁きを僕に普通の音量で伝えるのもまた可笑しい。

「なかなか飲めないんですって」

惣花は370円だったか。

そうなのか。

惣花を注文する。

コップになみなみと注がれて出てくる。

やわらかい味わいでおいしい純米吟醸。

オススメは間違っていなかった。

 

芝田さんのブログに写真に小イワシのてんぷらの写真が載っていた。

これは食べるつもりだった。

短冊にある。

鰯のてんぷら100円。

「そろそろ小イワシいきますか」

間髪を入れず隣りからささやかれる。

「鰯は二人前」

 

f:id:shioshiohida:20211210175826j:plain

小イワシのてんぷら一人前が2尾100円です。

 

小イワシに大満足して飲んでいると隣の常連客が勘定をしてもらう。

帰りがけに「ありがとうございました」とお礼する。

ささやきアドバイスの客は1200円ちょっと払って帰って行った。

結構、いろいろと飲んでたみたいだけどめちゃ安いな。

 

〆はA部さんも大好きのカレールーにしようと決めていた。

注文すると「ライスはいる?」とおかあさん。

ちょっとだけもらいましょう。

ライス小もありみたいですよ。

至れり尽くせりの角打ちですね。

いつのまにかカウンターは常連客でいっぱいになっている。

ラスト一杯、僕は江井ヶ島ハイボール、A部氏は黒糖焼酎れんとのロック。

f:id:shioshiohida:20211210182224j:plain

このカレーが意外にスパイシーで旨かった!

 

さてお勘定。

ここは僕が持ちます。

いくらですか?

2430円です。

えええええー!

マジですか?

酒は、サッポロ瓶ビール、惣花、神鷹、ハイボール、れんとロック。 

料理は、白菜つけもの、ハムカツ、鮪のつくり、鰯天ぷら2人前、カレーライス。

これでひとり1200円ですか?

初来店割引きですか?

またリピートしましょう。

隣の常連客の声が聞こえるようだった。

「ますや、ここは安い」

「千円で十分」

「また来ればいい」

ですよね。

 

f:id:shioshiohida:20211211111645j:plain

そういえば…このイラストが謎だった。鶏、猿、虎…謎でしかない。

f:id:shioshiohida:20211210190026j:plain

阪神西宮駅まで送って帰り道に角打ち発見! 福井啓次商店、常連の店ですな。

f:id:shioshiohida:20211210190147j:plain

ここの自販機は白鷹推しです。ビールも関西には珍しくサッポロ推し。