立秋、秋たちぬ。
朝、ジョギングする海沿いのコースでかつて僕が“群老” あるいは“群狼”と呼ぶ集団がいた。
年齢は七十代くらい、全員男、各々ねずみ色や黒の地味なジャンパー、7人か8人。
全員が自転車を押して、乗らずに歩いている。
話をしている様子もない。
ただ集まって自転車を押して海沿いの堤防を歩いていた。
同じ工場で働き、今はリタイアした元同僚だろうか。
元諜報部員のOBたちだろうか。
今はしょぼくれたトシヨリだけど実は凄腕の殺人集団なのではないか。
冒険小説にありそうな設定。
そんな想像して楽しんでいた。
なぜ自転車に乗らずに歩いていたのかはわからない。
どこからか集まり景色のいい海沿いの道を散歩していたのだろう。
その姿は「Gメン77」のタイトルバックのようだった。
帰りは自転車に乗って家に帰るのだろうと。
その“群老” を見なくなったのはいつ頃からだろう。
毎朝のようにすれ違っていたのは10年以上前のこと。
彼らの何人かはすでにこの世にはいないだろう。
一人抜け、二人抜け、“群老” は解体してしまったのだろう。
なにも悲しいことはない。
自然の理。
ただ、あの自転車を押して歩く男たちの影を思い浮かべるとすこし淋しい。
いずこに消えてしまった人生の先輩たち。
もうすぐ僕らの世代も“群老” に近づいている。
女子マラソンの朝。
早起きしてので当然のように昼寝する。
起き出して飛び込みの玉井くんを見て、またゴロゴロする。
夕方、ロードバイクで御前浜に行く。
モコモコやダンダンに会う。
コンビニで缶チューハイ(無糖)を買って、堤防に坐って飲む。
携帯用のクッションを持ってこなかったことを悔やむ。
あれが2つあると便利だな。
陸上ラストデー、あしたで終わる。
早く終わって欲しいと思ったオリンピックは初めてだ。