じわじわと暑くなってきた。
じわじわと蒸してきた。
でも、夕方になると涼しくなって過ごしやすい。
いまに過ごしやすい時間帯もなくなるくらい蒸し暑くなる。
その頃、首都では国際大運動会が始まる。
…のだろうか。
朝、散歩みたいに海辺を走る。
暑熱順化? ってほどは暑くないけどそれなりに汗はかく。
堤防のところでお揃いの自転車の夫婦連れに抜かれた。
お揃いのキャメルグリーンのミニベロ、なんと電動アシスト。
いつのもように人口島のバスケットコートで折り返して、前浜に戻ってきたら、
ミニベロ夫婦が松の木の下で、チェアに座って海を眺めていた。
今日は仕事なんかしないで僕もチェアに座っていたい。
お天気はいいのは今日までみたい。
あすは大雨になるらしい。
午後出社なのにポスプロ編集をチェックすると4時半に早退。
晴れていた空がどんよりと雲に覆われてきた。
実は…僕も…A部氏と…待ち合わせて、西宮浜で海を見ながらビールを飲むのだ。
約束通り5時半に海辺へ行く。
ヒロが作ったスパイスカレーをメスティンに詰めて、目玉焼きをタッパーに詰めて。
6時前にいつもの場所でヘリノックスとテーブルをセットする。
太陽はまだ高い。
日没まで1時間ある。
ガスバーナーでカレーを温める。
準備万端。
A部氏は来ない。
いつまで待っても来ない。
A部氏よりSMSが入る。
LINEではない。
彼は致命的なミスを冒したらしい。
香櫨園駅から山に向かって歩き続け、JRの電車で走るのを見たという。
阪神間は大阪〜神戸の間にある東西に細長く延びたエリアで、北は山、南は海だ。
海辺で吞む約束なのだから当然のことながら南へ歩くべきなのだ。
なぜ北へ行った?
北へ行くのは夢破れた青年のすることだ。
小林旭の北帰行 ♫ 窓は夜露に濡れて …北へ帰る旅人ひとり
あるいは演歌の定番、津軽海峡冬景色 ♫ 北へ帰る人の群れは 誰も無口で
お気楽に海で缶ビールを飲むのだから北へは行かない。
なぜ北へ行った?
わからなくなったらGoogleマップを見てくれ。
いまやGPSで現在地がわかる。
いやいや、氏はいまだガラケーだったか。
いやいやいや、氏はここへ来るのは初めてではない。
前回も、前々回も香櫨園から、夙川から歩いているはずだ。
あの経験は何だったのか?
最近の記憶は定着しないってやつ?
SMSに「今から浜へ戻りますが、多分、そっちまで行くと日が暮れます」
いやいやいや、JRの線路から浜まではそんな距離はないから。
JR線と阪神線は500mしか離れてない。
来ない。
SMSが届く。
「足が棒のようです」
いやいやいや、1時間も歩いてないでしょ。
A部氏の謎の行動は10年以上前にもあったことを思い出す。
ロスへの取材行で関空発JALに劇的に遅刻したのだ。
そのときも、なぜか免税店でグレンフィディックを買っていたという謎の行動。
問題はデイキャンプ一式を設営してしまってて僕も動けない。
缶ビールはお任せしてしまってるのでペットボトルのお茶しかない。
待つ予定はなかったので本も持って来てない。
お茶を飲んで海を眺めるしかない。
これがツライ。
30分強、ビールなしで待つ。
18時半、缶ビールが現れた。
いや、A部氏が現れた。
約束が5時半だったから、氏はこの狭いエリアで1時間彷徨っていたのだ。
缶ビールを飲む。
待たされた分、めちゃ旨い。
トマトとたまねぎとオクラと海老の入ったスパイスカレーを食べる。
玄米と目玉焼きを食べながら缶のハイボールを飲む。
18時半から19時半、小一時間、缶ビール1と缶ハイボール2を飲む。
六甲に日が落ちて30分、あたりはブルーアワーに包まれた。
20時前に撤収。
帰宅するとヒロが出かけるところだった。
「メールしても電話しても出ないから心配になって探しに行こうと思って」
iPhoneを見ると…何度か着信があった。
メールが一通。
《もう真っ暗やけど何かあった?》
心配かけてごめん。
方向音痴の人のせいで、と言い訳した。
「あんまり遅いから堤防のとこで若い子らにからまれてオヤジ狩りされてるかと心配したわ」
酔いもさめた。
あんまり量も飲めないけど酔いもしなくなった。
でも、眠くなってしまうのが加齢の証拠。
9時過ぎからデスク下で居眠りして起きたのが12時だった。
睡眠サイクルが狂うのは身体に毒。