ぷよねこ減量日記 since 2016

結果が、最初の思惑通りにならなくても、そこで過ごした時間は確実に存在する。そして最後に意味をもつのは、結果ではなく、過ごしてしまった、かけがいのないその時間 である。 (星野道夫)

【Easter eggs 2021】 吉田博 展 没後70年 @京都 高島屋

京都で吉田博展へ行った。

吉田博という人を知ったのは3年前の初夏だった。

ヒロが大好きな画家で、明治の中頃から昭和前半にかけて油絵や木版画を世に出した。

絵画に詳しくない僕の私見だが、岸田劉生の「麗子像」や梅原龍三郎の「桜島」、

黒田清輝の「湖畔」や青木繁の「海の幸」、みたいなアイコンになる作品を知らなかったせいか、

日本の代表的な画家として吉田博の名前を記憶することはなかった。

日本国内より外国での評価が高い人のようだ。

そして、画壇では「黒田清輝を殴った男」として知られているという。(笑)

僕の名前と一字違いだというのも親近感を感じる。

 

www.youtube.com

 最初に吉田博展を観たのは長野県上田市の美術館だった。

その美術館のロケーションや建物も素晴らしかった。

(上田城のすぐ真ん前だったが城跡には行かずじまい、残念!)

コラム 週刊YOSHIDA 上田市立美術館 吉田博展 | サントミューゼ

 

吉田博の絵の明解さに惹かれた。

特に木版画は大正という時代を感じさせずちょっとポップなイラストを思わせる。

軽やかなのだ。

特に日本アルプスやアメリカの国立公園、ヨーロッパアルプスを描いた画がいい。

ほとんどの風景作品の構図の好みが僕と同じで、望遠レンズと広角レンズの上手く使い分ける。

たとえば東京会場のポスターになっている「剱山の朝」という木版画。

*剱山は北アルプスの剱岳のことで当時は名称が定まっていなかったという

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いい具合に自分が描きたいモノをフレームに入れこんでいる。

紹介動画にあるように超現場主義、登山家でもあった彼はこの景色の見える場所へ登っている。

おそらく剱沢から別山への登りのどこかから剱岳方面を見返したポイント。

1926年の作品だが、僕も1995年と1996年の秋にこの場所に立っている。

1996年の10月、そのときは単独のテント泊だった。

(思えばいっぱしの登山家みたいなことしてたんだな)

きのう(1月8日)、京都の高島屋の展覧会場でこの絵「剱山の朝」を見て既視感があった。

 

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1996年10月 剱沢キャンプ場にて 塩田博 撮影

 

黄色いのが石井スポーツのゴアライトという僕のテント。

既視感……でしょ。

吉田博の絵を勝手にトリミングするとこうなる。

剱のアングルとか、手前の山並が違うので剱沢と反対側なのかもしれない。

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1926年(大正15年)吉田博「剱山の朝」 

 

いっきに親近感が沸く。

だからといって吉田博は山岳専門画家ではない。

素晴らしい風景画を多く残している。

ダイアナ王妃も自室に吉田博の風景を飾っていた。

ただ人物は苦手みたいだ。

京都の展覧会では画材を求めて世界を旅したことがわかる数々の作品を見ることが出来た。

戦前のアメリカのグランドキャニオン、ヨセミテ、マウントレーニア、ナイアガラ…。

ヨーロッパアルプス、インドや東南アジアや韓国…。

展示されていた鉛筆画のスケッチが素晴らしい。

プロというのはこんなにも凄いのかと思った。

絵心がないので実際に風景と対峙しさらさらとこんなスケッチが書ける能力に感服した。

そういえばこの11月に日本の製鉄所や造船工場の油彩画の展覧会も見た。

今回、2枚の絵はがきを買った。

「剱山の朝(1926年)」と「エル・キャピタン」(1925年)

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左「剱山の朝」 右「エル・キャピタン」

デスク横の壁に毎年かけているのはアンセル・アダムスのモノクロ写真のカレンダー。

確かヨセミテ国立公園の巨大な一枚岩「エル・キャピタン」の写真もあったはずだ。

吉田博のこの木版画を見た時、あ、アンセル・アダムスだ!と思った。

 

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1956年  アンセル・アダムス撮影

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1925年 吉田博「エル・キャピタン」

会場のショップに「吉田博画文集」があった。

買い損ねたが、この人の文章も読めるなら買おうかなと思う。

吉田博画文集 われ山の美とともにあり

吉田博画文集 われ山の美とともにあり

  • 発売日: 2017/09/13
  • メディア: 単行本
 

 (2021/1/8付【Easter eggs 2020】)