ぷよねこ減量日記 since 2016

結果が、最初の思惑通りにならなくても、そこで過ごした時間は確実に存在する。そして最後に意味をもつのは、結果ではなく、過ごしてしまった、かけがいのないその時間 である。 (星野道夫)

2020/08/27 Thu. れいこいるか

7時起床、ぬるま湯につかり、体重を測ると…72.90キロ!

あかん、あかん、あかんゾーンです。

ナレーションの手直しして、ベーグルとクラムチャウダーの朝食を食べて、駅へ向かう。

最近、なんやかんや改めねばとか、前に進もうとか御託を並べているが遅遅として停滞したまま。

理由は圧がないことだろうと思う。

やらなくてもすぐには困らないからだ。

もちろん、時計の針は容赦なく進んでいるのだけど。

コロナ自粛と同時進行で進めた断捨離が一段落したが、自粛解除とともに動きが止まる。

サッカーのゲーム運びでもこれと似たようなことがある。

守備を固めて、カウンター狙い。

そう徹したら強い。

自由にやっていいよ、となると迷いが出る。

 

ナレ録りが終わり、テープ搬入を確認。

JRで三宮へ向かう。

久々に長野屋のカレー蕎麦が食べたくなった。

高架下の商店街の2階、古い客船の通路みたいな不思議なゾーン。

日記に前回食べたのは2016年2月と記されている。

店の前に人気がない。

暖簾はかかっている。

引き戸をガラガラ。いらっしゃい。

午後1時過ぎ、先客はおじさんひとり、おじさんが、もうひとり入る。

カレー蕎麦とごはん小。

店主は厨房にカレー蕎麦と告げて小上がりでノートパソコンに向かう。

しばし待ち、それらが来る。

香り立つカレーの香り、ぐるっとかけられたウスターソース、濃厚なとろみ、

具はわずかな肉片と細ねぎとたまねぎ片、変わらぬカレー蕎麦。

だしを飲む。

旨い。

和風だしがきいている。

でも、でもちょっと高いね。

カレー蕎麦900円。

5年に一度だからいいか。(笑)

でも、ことし寒くなったらもう一度食べたいなと思わせる出汁のうまさでした。

 

常連と思われるおっさんが入ってくる。

まいど、おっさんは坐る。

注文してないのに大将は厨房に「こなはん ひとつ」と声をかける。

何?

出てきたものは一見、僕と同じカレー蕎麦。

食べているところを覗き見するがやはりカレー蕎麦。

こな=麺 なのだろうか?

それが半分ということか?

聞けぬまま店を出た。

こ・な・は・ん

僕はその正体を知らぬまま死ぬのだろう。

 

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静かな店内にそばを啜る音が響く。

 

映画ファンH田くんオススメの映画を見に元町映画館へ行く。

神戸 新開地が舞台の「れいこいるか」という映画を観る。

「苦役列車」の脚本や「ろんぐ・ぐっどばい 探偵 古井栗之助」のいまおかしんじ監督が、阪神淡路大震災で一人娘を亡くした夫婦の23年間の葛藤と絆を描いたヒューマンドラマ。1995年、神戸に暮らす伊智子と太助は、阪神淡路大震災で一人娘のれいこを亡くす。その後離婚した2人は、それぞれの生活をスタートさせ、淡々とした日常の中で徐々にれいこの死を受け入れていく。2018年、久しぶりに再会した伊智子と太助は、れいことの思い出の水族園へと向かう。伊智子役を関西演劇界で活躍し、本作が映画初主演となる武田暁。太助役を「HANA-BI」「下妻物語」の河屋秀俊がそれぞれ演じる

 元町映画館の前で数人が並んでた。

「整理券の順番でお願いします」と映画館のスタッフが言う。

満席?と思ったが、整理券は10番までで終わった。

「整理券持ってないんですけど」「構いませんよ。どうぞ」

観客12人くらいで上映が始まる。

スクリーンにいきなり曇天の須磨海岸が映る。

 

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映画を観て、ある意味ほっとした。

震災で傷ついたトラウマから立ち上がるという重めのテーマではなく、

神戸の下町のどこにもありそうな人生が淡々と描かれていて、いい意味で予想が裏切られた。

幼い一人娘を震災で死なせた夫婦は、立派でもなく、悪人でもない。

25年も経てば、人に言えない恥ずかしい過去もある。人生はうまく運ばない。

人生ってちょっと酔っ払ったはずみに転んで大怪我するような悲劇があるし、

時が過ぎればそれも笑い話になって、痣みたいな傷を残したいていは癒されてしまうもの。

それでも面白おかしく笑って生きていこう、というのがテーマなのかな。

登場する夫婦のまわりの人々も偉くもなく何を成し遂げるわけでもなく普通に生きている。

酒屋にただ酒飲みにくる老人、仮設仲間の老人たち、ウルトラセブンのヒロシさん、

湊川公園で古本を売って暮らすおっちゃん、新開地で卓球を教えてくれる少年…。

神戸弁のセリフまわしがちょっとダサかったけど、いい映画でした。

 

立ち吞み屋の娘、主人公の伊智子は恋多き女で、結婚したりつき合ったりする相手の男は全員が

才能のないもの書きばかりなのが、あるある案件で面白い。

一方、離婚後、女性とは縁のなさそうな太助。

この役者、新喜劇の桑原和夫さんや僕の知っているY田M男とダブった。

太助は娘れいこのいるかのぬいぐるみを後生大事に持っている。

 

ロケ地はどこも見たことのある場所。

新開地、湊川公園、鷹取駅、新長田の鉄人28号…。

行ったことはないが立ち吞み屋は鷹取駅前の森下酒店だ。

最近ハマっていたコラム集「ごろごろ神戸」で書き手の平民金子氏が生息しているのも湊川周辺。

いわゆる北野異人館、旧居留地、センター街ではない神戸だ。

涼しくなったらまた歩きたい。

 

映画を見て午後4時過ぎ。

角打ちに行きたくなる。

近所にある。

3月に一人で行った山田酒販。

すでにカウンターに地元のおやじたちが飲んでいて、初老のカップルもいたりで、

見たばかりの映画のスクリーンに入りこんだ気分になる。

ほぼ全員が常連さんで完全アウェー。

生ビール小をチーズかまぼこ(40円)で飲む。

まだ映画を見ているつもりで常連さんたちの会話を肴に少し飲む。

 

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ウスターソースをぐるっとかけて出てくる。