コロナの前から世間には病的なまでの潔癖症がいる。
身近にいないのは幸運だが、実際にいるらしい。
その人たちはいまどんな生活をしてるのだろう?
NHKで繰り返し放送されているお知らせがある。
新型コロナウイルス対策 ”ウイルスはペンキと考えて” | 課題解決で暮らしやすい社会へ|NHK
ウイルスというのは72時間はペンキ塗り立てと同じだと考えなさい。
ドアノブにも、エレベーターのボタンにも、衣服にも、靴にも、スマホにもついている。
だから帰宅したら着ているものを玄関ですべて脱いで洗濯機につっこみ、
自らはシャワーを浴びてウイルスを落としましょう。
スマホは特にウイルスが突きやすいのでジップロックに入れて保管、操作しましょう。
ウイルスに対する認識は間違いではないと思う。
実際にこれを実行してる人もいるのだと思う。
「課題解決で暮らしやすい社会へ」とあるけど、暮らしやすくはねえだろ、と突っこみたくなる。
潔癖症になれない。
神経がもたない。
人それぞれ感じ方が違う。
ある仕事仲間は嫁が過敏で、神経が休まらないと言う。
せめて家族間ではそのセンサー(感知度)は近いモノにしておきたいと思う。
午後からエビスタの書店ブックファーストへ行く。
欲しかった本を3冊と平積みで見つけた「村上T 僕の愛したTシャツたち」の計4冊を買う。
隣接したコーヒーショップでパラパラと斜め読みする。
お店で珈琲を飲むなんていつ以来だろう。
本はもらったクオカード、コーヒーはメルカリで売ったポイントで支払う。
書店で買った新刊を数冊、コーヒーを飲みながら読むのは紙の本の愉しみのひとつに違いない。
ネット通販で届く本やWEBで読むのとは違う手触りと匂いがある。
午前中に予約しておいた美術展「メスキータ展」@大谷記念美術館へ行く。
映画館へ行こうとも思ったが天気もいいので美術館の庭園の花も見たいし、
ずっと閉まっていたので展覧会の終わりも近いのでこちらを選んだ。
ヒロは4月始めに一時期だけ開館となったときを狙ってすでに行って僕に勧めてくれた。
「たぶん気に入ると思うよ」と。
メスキータはオランダに住む美術教師で教え子に不思議絵のエッシャーがいる。
特別展のタイトルに「エッシャーが命がけで守った男 メスキータ展」とある。
メスキータはポルトガル系ユダヤ人でアウシュビッツで殺された。
エッシャーが守ったとあるけれど守れなかったのだ。
守ったとあるのはメスキータの遺作を集め終生に伝えたといことなのかな?
よくわからない。
白黒の木版画が多い。
他にエッチング、リトグラフ(よくわからない)、まれに油彩、パステル画がある。
はっきりとした線、絵が強い。
戦前の画家?と疑うほど現代のアニメ原画っぽいのだ。
あるいは風刺漫画みたいな。
人物だけじゃなくアムステルダムの動物園で描いたアフリカの動物やカラーやパインなどの植物。
なかなか楽しめた。
15時からの予約で2時間ごとの定員制(50人/2時間)。
有名な画家の展覧会ではないのでさほど混まない。
同じ展示室に多いときで5人くらいか。
「村上T」ではないが、メスキータの版画はTシャツに合うと思った。
ショップで3種類売っていた。
断捨離明けの身、買わなかった。
それにしてもアウシュビッツか…。
1944年の二月、享年七十五。
当時としては長命で、その果てが強制収容所だった。
地獄のような厳冬のポーランド。
人間、晩年に何が待っているか、一寸先は闇。
メスキータ展で一番印象に残ったのはそれだった。
ちなみにポスターになっているのはメスキータの長男の肖像。
彼もまたアウシュビッツで命を落とした。
6月の花が咲く美術館の庭園を歩きながらメスキータの最期を思った。