あれなんだっけ?
毎日が、おもいだせない、おぼえられない日々だ。
頭の中に作業スペースがないという感覚。
トシをとるといこうことはこういうことか。
誰も教えてくれなかった。
amazonプライムの日本映画NETで550円払って岩井俊二監督作「四月物語」を観る。
自宅のトイレには今昔の思い出のかけらが吊してある。
鉄道の乗車券、絵はがき、コンサートのチケットなどなど。
その中に「四月物語」の鑑賞券があった。
1998年公開、当時はまだネットもなく、前売り鑑賞券の時代だったんだ。
映画の情報はおそらくぴあ、Lマガジン、プレイガイドジャーナルもあったかな?
とにかく僕はこの「四月物語」を観たのだ。
観たのだが記憶はおぼろげだ。
このポスター(チケット)のビジュアルに惹かれて観たことだけは憶えている。
松たか子という女優で当時20歳くらいだったか。
きのう40を越えた彼女のの「ラストレター」を観た。
amazonプライムで観られる。
時間も1時間ちょっとの小品だし。
以下、観ながらとったメモからランダムに…。
…過去の日記で見つけた。
この「四月物語」を観たのは1998年4月9日だった。
4月9日(木) (自宅にて)
雨の一日。3本映画を観る。
『グッドウイルハンティング』『四月物語』『未来世紀ブラジル』
テアトルのレイトショーのあと、雨も上がりイルミネーションの中、
中辻に電話する。
3本観たのか。
これでは埋もれてしまうわけだ。
…大学に入ってクラスで自己紹介をするシーンがある。
「シオダヒロシです。一浪です。愛知県の刈谷という町から来ました。金沢は五木寛之の小説を読んでいいなあと思って受験しました。いまは泉学寮に入ってます。よろしくお願いします」
なんてことを言ったのかな。
映画には初々しいこんなシーンが重ねられる。
はじめての学食、はじめての喫茶店、はじめての定食屋、はじめての書店、はじめての名画座、
はじめての暗闇、はじめてのスナック、少しずつ出来上がってくるはじめての生活圏の地図。
はじめての自由、授業があっても無くてもきょうどこへ行こうかと思えた。
映画の前半、いや全体にその自由な雰囲気がずっとラップしていた。
…ちょっと不良っぽい都会のクラスメイトに誘われて入るのはフライフィッシングのサークル。
(部長が津田寛治)公園でロッドの練習をするシーンを見て、あ、これ見たことあるかなと。
…あ、これ国立の桜並木だ!2011年に眼鏡堂氏に家に泊まったときに歩いたことがある。
…主人公の名前は楡野卯月(にれのうずき)。
終盤の雨のシーンを見てたらアニメ「言の葉の庭」を思い出す。
そう、そして「秒速5センチメートル」の桜が舞い散るシーン!
「四月物語」って新海誠のアニメ映画にそのまま移植できる。
構造、ストーリー、テイスト、音楽、登場人物のキャラ。
…卯月は本をよく買う。
それは別の意図があってのことだけど学生なのにこんなに本を買う金があるのか?と思った。
でも、思い出すと僕も本をよく買った。
LPレコードも予算を決めて月に2枚か3枚買ってたような気がする。
あの頃は本やレコードくらいしか欲しいものがなかったのかもしれない。
…岩井俊二は卯月や「ラストレター」の裕里みたいなカワイイ性格の人が好きなんだな。