ぞうさん ぞうさん おはながながいのね
そうよ かあさんも ながいのよ
ぞうさん ぞうさん だあれがすきなの
あのね かあさんが すきなのよ
詞 まどみちお
まどみちおは自分の書いた詩の解釈は語らなかったと言う。
戦時中の上野動物園の悲劇を題材にしたとか諸説あるが…。
ただひとつ、吉野弘(詩人)の解釈。
「鼻が長いとからかわれた子象が意に介せず、あっけらかんとしている。
人は(動物は)違って当然である。」(詳細は不明)
これには私もそう思っていると否定しなかったという。
ある人がブログに書いていた。
児童文学作家、詩人の阪田寛夫は、このまどさんの「ぞうさん」の詩の読まれ方を
最初は理解出来なかったという。そしてまどさんに訊いた。
阪田さんが「目の色が違っても、髪の色が違っても、みんな仲良くしましょう、
などとよく言われますけれども」と言うと、
まどさんは「私はそうではなくて、目の色が違うから、肌の色が違うから、すばらしい。
違うから、仲良くしようというんです」と言ったという。
ヒロに誘われ美術展、上田市の「吉田博 展」に次いでことし2回目。
今回は詩人にして画家のまど・みちおの「まど。みちおのうちゅう」です。
で、お昼前から新快速で姫路へ出かける。
姫路も桜の季節に次いでことし2度目だ。
我が家から1時間で行ける世界的観光地なのだ。
考えてみれば京都へも奈良へも姫路へも1時間ほどで行けるロケーションなのだ。
直射日光を避けてアーケードを歩く。
みゆき通り商店街の北の端(城に近い)はレトロなアーケード。
天蓋というにふさわしい昭和の商店街。
ヒロが日傘を2本持って来た。
アーケードを出て、生まれて初めて “日傘男子” となる。
日傘爺、かもしれない。
なんだか妖怪みたい。
帽子よりいいかもしれない。
4月に来たときは季節が遅く桜はまだ咲いてなかった。
いまはすっかり緑が濃い。
姫路城下、という風情の写真だと思いませんか。
城からほぼ1キロ、陽に炙られて歩くと姫路文学館に到着。
展覧会を見る前に学芸員による解説がある。
「まど・みちおのうちゅう」@姫路文学館
数々の詩と童謡の歌詞と抽象画を遺し、104歳で天寿を全うした まど・みちお (石田道雄)さん。
「ぞうさん」「やぎさんゆうびん」「ふしぎなポケット」「一年生になったら」などなど。
知らない者はいないこれらの歌をじっと聞いてみた。
これって…。
誰にでもわかる言葉で、真理を伝える感性と巧みさに
ぞわっと鳥肌が立つ。
意味は計り知れぬけれど、もうひとつゾクゾクした詩がある。
「キリン」と題された一編。
天にたいして
やや ななめ地にたいして
やや ななめこの巨大(おおき)なシャクトリムシの
口の先から
ぎんの糸が一本
まっすぐに
地球の中心までとどいている風に鳴る鳴る
ぎんの糸
キリンという生き物を見て、「天にたいして ややななめ」という観察眼。
凡人はあんぐりと口を開けるしかない。
そして、口の先からぎんの糸がまっすぐに地球の中心まで という視覚的なイマジネーション。
その宇宙的なスケール。
あり得ない。
その詩についた自作の画が一枚目。
処暑の午後、まどみちおという宇宙に感嘆した。
姫路城の歴史展示やゆかりの文学者の展示も素晴らしい。
文学館のスロープから臨む姫路城天守閣。
西から見る。
記憶の底に姫路城の西側を歩いた記憶があるのだが…
それがいつごろのことなのか、何を目的に姫路に来ていたかは思い出せない。
雲行きがあやしい。
駅までの2キロ、雷雨が来たら困る。
南館にあるカフェで軽食とコーヒー。
ナポリタンも、コーヒーも驚くほど美味しかった。
文学館からまっすぐに東へ歩く。
当然、姫路城にぶつかる。
堀の一つだろう。
高校生たちが自転車で通る城内の道。
国道2号線沿いに百日紅の大樹があった。
姫路にいながらiPhoneで甲子園決勝と台北のユニバーシアードの100m予選をチェックする。
夏の選手権を制したのは花沢徳衛、ではなく 花咲徳栄高校(埼玉)だった。
話題の中心は広陵の強打の中村捕手だったが。
中村は6本のホームランを打ってあの清原の記録を抜いた。
台北のユニバーシアード、多田修平は1次2次予選を余裕で通過。
100mの全力疾走がどれほどの負担かは想像もつかないけど世界選手権から地球規模で転戦。
このあとも国内で全日本インカレがある。
帰宅して餃子とビール。
〆は冷やし素麺。
富士通のエアコンで部屋を冷やす。