ぷよねこ減量日記 since 2016

結果が、最初の思惑通りにならなくても、そこで過ごした時間は確実に存在する。そして最後に意味をもつのは、結果ではなく、過ごしてしまった、かけがいのないその時間 である。 (星野道夫)

2016/5/23 海よりもまだ深く

いろいろ迷って選んだ映画は是枝作品「海よりもまだ深く」@神戸国際松竹

このところMOVIXあまがさきへ足繁く通ったおかげで松竹系のポイントが貯まり特典観賞。

シネコンでは珍しく傾斜なしのシートでしたが空いていたので楽に観られました。

「海よりもまだ深く」、しばしの間、しみじみしたい時ってありますよね。

是枝裕和の正統であり真骨頂、何も起こらない117分を味わいました。

そして、また、自分の人生を見つめ直してしまいました。

そんなもの見つめない方がいいに決まってるのに…。

罪な映画。

でも、結構笑えたからいいか。

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劇中の会話に何度かマジで声出し笑いしてしもた。

笑ってるの自分しかいなかった。

等身大の身につまされるセリフが満載で切ない。

売れない小説家の主人公は四十半ば、バツイチ、取材と称して興信所に勤め、

主婦や高校生脅して金を巻き上げるゲスな中年男。

「あんたみたいな大人にだけはなりたくないです」

と高校生に言われて、

「言っとくけどな、そんなに簡単になりたい大人になれると思ったら大間違いだぞ!」と凄む。

このときの阿部寛と隣の池松の表情がいい。

(池松は笑いをこらえてるだけだけど)

阿部寛はこの映画でいつも顔が脂ぎってぎとぎとしてる。

濃い顔だけに見ていてうんざりする。

爽やかさとは無縁。

このうんざり感が効いている。

上手いなと思った。

 

阿部寛のダメ男具合はアル中のY田に重なる。

樹木希林の裕福ではないがシアワセそうな具合は義母に重なる。

カルピスを凍らせたアイスに思わずにやりとする。

そんなディテールの描写がいちいち感応するのだ。

エレベーターのない団地の踊り場から手を振る樹木希林が義母を思い出す。

わざわざ息子を送りに来てちょっっとそこまでといっしょに歩く後ろ姿が実母と重なる。

端役ではありましたが興信所の女性スタッフ役の中村ゆりはよかった。

 


映画『海よりもまだ深く』本編映像

 

今回も背中を押してくれたのは ブログ「一日の王」でした。

しっかりと読み解いてくれてる。

 

是枝映画の正統 と書いたのはこの映画があるからです。

「歩いても歩いても」(2008年公開)

今回と同じ阿部寛がダメ男で主演、母親役も同じ樹木希林。

その他の設定は違いますが役名の良多(りょうた)は同じ。

ダメ男 阿部寛の嫁は前回は夏川結衣、今回は真木よう子。(羨ましい)

「歩いても歩いても」は試写会で観た。

当時はちゃんと日記に感想を書いている。

あれは8年前か、自分も劣化しちゃったなあ。

 

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2008年4月1日 人生は、いつもちょっとだけ間にあわない 

4月、和名は卯月、2月生まれの僕にとって人生52回目の春になる。
昨日の酒が残っている。二日酔いでは無い。
ただ、アルコールを完全に分解できてない。
「斬九郎」は悪くなかった。
調べると長野は伊那の酒、「信濃錦」を醸す同じ蔵の産だった。
信濃錦は松本の居酒屋「山女や」で出している銘酒だ。

今日から、間食禁止、月間200キロ、支出をメモ。

 

…メジャー開幕、今朝からMLB中継が始まる。
中継はマリナーズとレンジャーズ、シアトルは雪が舞っている。
カブスの福留が同点スリーランを含む3安打の鮮烈デビューをしたと知る。
9回、土壇場で打った値千金のスリーラン、相手投手はガ、ガ、ガ、ガニエ!

 

…昼イチでジョギング。
月間200キロを目標に掲げたから今日から距離を延ばして7キロ。
芦屋の水路沿いの緑地が色鮮やかになってきた。
桜の薄紅、ユキヤナギの白、レンギョウの黄、そして明るい草の緑。

 

 

…午後から試写会へ行く。
場所は堂島のギャガコミュニケーションズ。
是枝裕和監督「歩いても歩いても」114分。

地味だが心に残る大人の映画だった。
描いているのは今なのに、小津映画を観た気がした。
(「東京物語」しか観たことないのにエラソウに書く)

成人して家を離れた子供たちと老夫婦の一日をたどる家庭劇。
ある夏の日の昼時から翌日の昼までを描く。
ちょうど24時間くらいだろう。
海の見える町、引退した町医者の老夫婦、夏の法事、娘と息子がそれぞれの家族を連れて帰省。
ストーリーは紹介しないけど、この設定で雰囲気はわかるでしょ、と思う。

夏の空気感がなつかしい。
現代が舞台なのに懐かしいのはどうしてだろう?
夏の濃い緑、眩しい光、夜の湿った空気の感触、が強く印象に残る。
違う季節に夏の映画を見ると、なぜか昔を思い出してしまう。

 人生は、いつもちょっとだけ間にあわない

これが映画のメッセージだ。
プレスシートに「母の背中」と題して是枝監督(45歳)が書いている。

 もう5年も前になるだろうか。母と一緒に食事をした。
 場所は新宿だった。「お肉が小さいわね」とか「高いわよ」などと
 散々文句を言いながら、それでも母は大好物だったすき焼きをペロリとたいらげた。
 別れぎわ「じゃあ、またね」と言って、楽しそうに手を振りながら
 昼下がりの新宿駅へ歩いていく、そのうしろ姿を見送りながら、
 「もしかすると一緒にご飯を食べるのはこれが最後になるかも知れない」という、
 根拠のない不安に襲われた。
 だから、僕は、母の背中が南口の改札の人ごみに見えなくなるまで、
 しばらくの間、舗道に立って見守っていた。
 残念ながらその予感は現実のものになった。


映画はこのときの後悔から出発しているのだと言う。


   「人生は、いつもちょっとだけ間にあわない」

 

10年前に父方のおばあちゃんが亡くなった。
生まれた時から同じ家に住み、僕を一番かわいがってくれた人だ。
大学に進学して家を離れた頃から会うたびに、
「ヒロシが嫁さんをもらうまでは長生きするでね」と言っていた。
おばあちゃんが息を引き取ったのは1998年の2月だった。
長野五輪の仕事で死に目に会うことは叶わなかった。
僕が結婚したのは同じ年の夏だった。

41まで嫁さんをもらえなかった分、おばあちゃんは長生き出来たのか。
でも、「人生は、いつもちょっとだけ間にあわない」

肉親と会って少しの時間を過ごし別れるときに目頭が熱くなったりする。
いつの頃からかだろうか、と思う。
こういう感覚は誰にでもあるのだろうな。
自分自身が年齢を重ねたからだろう。
たとえば、長い出張や一人旅に出る。
家を出る時にヒロに見送られる時でさえ、これが最後かもしれない、と思うことがある。 

プレスシートにある川本三郎の文章「そして、家族は続く」は一読の価値がある。
若い頃からこの人の書くものを読んで、ああ、そうだったのか、と気づかされる。
家族の間では「重要なことはさりげなく、とりとめのないことを熱心に」が、
家族の生きる知恵なのだ、と書いていて、そうなんだよなあ、と唸らされる。
肉親の死、老い、失業 については「さりげなく」、
子供の頃、家族でトウモロコシを盗んだこと、父親のレコードコレクション、
母の思い出の歌「ブルーライト・ヨコハマ」については「熱心に」だ。

この映画のタイトルは「ブルーライト・ヨコハマ」の歌詞から来ている。

 

  ♪歩いても 歩いても 小舟のように (作詞 橋本淳) 

 

帰省する次男の嫁は夏川結衣が演じる。
1968年生まれとあるから今年40歳になる。
若い頃はそれほど気になる女優ではなかったのに、
いいなあ、とスクリーンに見とれてしまった。

 

…旭屋本店でセルジオが表紙に載っている「男の隠れ家」を買う。
映画の余韻を味わいながら蕎麦の竹生庵で独酌、1合だけ飲む。
ヒロはバレーの練習で深夜に帰宅、いっしょにストレッチをする。

 

「歩いても…」の音楽はゴンチチ、「海よりも…」はハナレグミが主題歌「深呼吸」を歌っている。

♪ 夢見たミライってどんなだっけな? さよなら 昨日の僕よ

   見上げた空にひこうき雲 僕はどこへ帰ろかな

 



 

 南芦屋浜までロードバイクで行く。

まっすぐな堤防をジョギングで往復する。

気分はもう夏。

 

あおい輝彦の「あなただけを」やナベサダの「マイ・ディア・ライフ」なんか聴きながら走る。

あおい輝彦 あなただけを - YouTube

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六甲アイランドに停泊しているのは北九州と大分行きのフェリー。

いつか乗りたいと思ってそろそろ十年が経つ。

この2隻のフェリーは僕の心象風景なのだ。

いつか、そう、いつかは出港する。

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もともとは西宮で「ヘイル・シーザー」を見るつもりだった。

出遅れて神戸で「海よりもまだ深く」を見た。

続いて夕方から「孤独のススメ」を見ようとしてたが止めた。

花隈の「梨園」で独酌&独食。

肉タマゴ飯にしようと決めていたのに路線変更。

レバニラ炒めとビール中瓶。

なんだか今日は路線変更の一日。

 

「梨園」のレバニラ炒めは独特だ。

かなりトロ味がある。

美味しい。

ここで初志貫徹して肉タマゴかエビタマゴ飯にすればいいのに路線変更する。

焼きビーフンと半チャーハン。

食べ過ぎ。

ちょっと苦しい。

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花隈城跡に登る。

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神戸を舞台にした映画のロケ地になりそう。

JR、阪神、阪急と東西に走っているが地上を走ってるのはJRだけ。

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…映画「海よりもまだ深く」に池松壮亮が出演していた。

主人公のダメ男阿部寛の部下というか相棒役で肩の力が抜けたいい味を出していた。

予告編にも主演の映画が流れた。

高校生の会話ばっかりの映画らしい。

ファイトなし、部活なし、壁ドンとかも なし。

ただひたすらダルい会話。

もうひとりの管田将暉の大阪弁もいい。

「そこのみにて光輝く」の池脇千鶴の弟役で出てた俳優。

けっこうハマる。


池松壮亮&菅田将暉!映画『セトウツミ』予告編

 

 三宮から花隈まで歩いて往復する。

何やってんだろ。

歩き過ぎると指が痛むなあ。