ぷよねこ減量日記 since 2016

結果が、最初の思惑通りにならなくても、そこで過ごした時間は確実に存在する。そして最後に意味をもつのは、結果ではなく、過ごしてしまった、かけがいのないその時間 である。 (星野道夫)

2016/5/9 雨の日は美術館へ行こう。

雨だ。

傘が必要な雨。

きょうは歩いていこう。

雨の日は美術館へ行くと決めていた。

自転車なら5分足らず、歩くと20分かかる大谷記念美術館。

しょうがない。

雨の日はしょうがない。

って、わざわざ雨の日を選んで行ってるのにね。

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歩き始めてしばらくすると身体がしんどい。

山田太一のエッセイをいつかの日記に書いたことを思い出す。

 

「六十代」はこんな書き出しで始まる。

 

  年齢が、面白い。

  当たり前だが、三十代は三十代になれないと体験できない。
  よくも悪くも二十代には想像もしなかったことを実感する。発見する。
  四十代にも、五十代にも、その歳になって

  はじめて自分のものになる思考、発見、経験、感慨がある。

 

このあと、高橋新吉の「無意味」という詩に触れて短いながら読み応えがあり面白かった。
山田太一はすでに70代後半だがかなり前に書かれたエッセイらしく60代について書かれている。

 

  六十代に入って私は何度か町なかで立往生することがあった。
  突然、ズシリと重い疲労に襲われる。歩けなくなる。

 

山田氏は街を歩きながら考えごとをしたりコーヒー店に入ったりするのが常だった。
五十代にもやってきた習慣だったのだが…。
実は今年55になった僕も兆候がある。
梅田や三宮あたりで街歩きをして、ある一定の時間ずっと立ったままでいると突然足が重くなる。
幸い立往生とまではいかないが、どこかに坐りたくなるのだ。
以前にはなかったこと。
(山歩きでは身体がそれなりの覚悟をしているのがそういうことはないが)
町なかで立往生した山田太一氏の話は他人事ではない。
あと5年で僕も六十代、あっという間にやってくるに違いないのだ。

 

2012/11/12 5年後を想像すると…。 - ぷよねこ減量日記 clasic 2009/5-2016/1

 

そういえば今朝は運動する気にならなかった。

身体は正直だ。

今日は仕事場に行く用事もない。

美術館へ行ってすぐに帰ろうかと思うが…ちょっと抵抗してみたい気もする。

歩き続けて考えよう。

 

結局、神戸へ行った。

自宅〜(徒歩)〜大谷記念美術館〜(徒歩)〜阪神打出駅〜(阪神電車)〜新開地駅

〜Cinema KOBE(旧新劇会館)〜(阪神電車)〜西元町駅〜「梨園」で瓶ビール&叉焼飯

〜(徒歩)〜三宮  ヤマダ電機 〜「串カツ オーエス」で日本酒と串カツ〜(阪神電車)

〜阪神西宮駅〜(徒歩)〜自宅

結局、歩けなくなることもなく自宅に帰り着く。

疲れはとれないが楽しかった。

それでいい。

 

以下、絵(写真)日記です。

 

朝、なんか時間かけてるなと思ったらこんなん作ってました。

焼き穴子丼!

赤だしが非日常で嬉しい。

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傘をさして夙川沿いを歩く。

図書館あたりの翠橋(みどりばし)、古い石造りの橋です。

ドラマや映画のロケでも使われたとか。

ジブリアニメのモデルにもなりそう。

雨の日は緑の輝きが二割増し。

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雨は止まず。

大谷記念美術館まで20分くらいだろうか。

一度だけ来た記憶があるが、いつだったか、何を見たか、憶えていない。

結婚する前、二十代だったかもしれない。

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玄関前に芦屋の洋食「一喜」の支店があった。

今はもうない。

本店も国道沿いから住宅街に移転したようだ。

一喜 本店 (いっき) - 打出/洋食 [食べログ]

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「スイスデザイン展」@西宮市立大谷記念美術館 5/29まで

西宮市大谷記念美術館

スイスの主に工業デザイン中心の展示。
ポスターやファブリックよりプロダクトデザインが興味深い。
ビクトリノックス、バリー、シグ、スウォッチ、フライターグ…。

そうえばこの冬に買ったパーカーもスイスのメーカー Mammut だ。

Mammut | Japan

マンモスを描いたロゴマークはマンモスでカラーリングは赤と黒。

もともとは登山用のザイルのメーカーだったらしい。

展示を見ているとメッセンジャーバッグのフライターグはトラックの幌のメーカー。

 

建築家 ル・コルビジェのコーナーもあった。
卒論で彼の「伽藍が白かったとき」をコピペさせてもらった仲でもある。(笑)

もちろん当時はコピペなんて便利なものはなかったけど。

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音楽もなく、人も少なく、静かな展覧会。
聞こえるのはかすかな雨音だけ。

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スイスへは過去に1981年、85年、91年に訪れている。

いつも冬だった。

いわゆるアルプスの観光地へは行ってない。

学生時代の1981年にたまたま寄った首都ベルンの街が気に入った。

首都なのに静かで雰囲気のある街で石造りのアーケードがずっと続いてて、

歩いて行くと川沿いにクマが何頭も飼育されていた。

街からはベルナーオーバーラントの山並が見えるはずだが冬でいつも曇り空だった。

今はネットですぐに写真が見られる。

街並は世界遺産になってるらしい。

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最初は街を歩いただけだったが、二回目には一泊した。

池田高校の蔦監督と行った旅だった。

旅の1泊目は美しくて静かな街ベルンにしようと決めていた。

そういえば、その旅の最後もスイスのバーゼルだった。

当時、一番安い飛行機が大韓航空でチューリッヒが発着地点だったのを思い出す。

スイスの旅、思いだし始めると長くなりそう。

 

雨の中、打出まで歩いて阪神電車。

雨中の歩き、電車に坐るとぐったりしている。

少し風邪気味かもしれない。

早く帰って休めば?

その言葉と裏腹に阪神電車は西へと進む。

映画館の暗闇で身体を休めよう。

リーブルの「アイヒマン・ショー」にするか、新開地の二本立てにするか。

三宮で身体が動かず新開地まで来てしまう。

華やかな雑踏を本能的に避けたのだろうか、それとも疲れて立ち上がるのが億劫だったのか。

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映画「ディバイナー 戦禍に光を求めて」@シネマ神戸

ラッセル・クロウの監督、主演のオーストラリア映画。

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ラッセル・クロウが監督・主演 映画「ディバイナー 戦禍に光を求めて」予告編 #Russell Crowe #movie

 

ガリポリの戦い、オーストラリアとニュージーランドの合同軍 ANZAC撤退

トルコ イギリス ギリシャ ダーダネルス海峡 

 

ヒロインのオルガ・キュルレンコ。

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オルガのインタビューあり。
『ディバイナー 戦禍に光を求めて』第3弾特別映像

 

 花隈、高架下の中華「梨園」のチャーシュー飯。

やわらかい薄い叉焼をぜいたくにご飯にのせて目玉焼き。

付け合わせに青菜の炒め物、絶品でした。

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雨の日は美術館へ行こうの一日。

スイスからオーストラリア、トルコへ飛び、最後は中国。

世界一周した気分でした。

疲れは増したけどが楽しかった。

それでいい。