日曜日、朝8時半に家を出る。
自転車で15分、甲子園球場の自転車置き場に停めてライトスタンド上段に陣どる。
アルプスには奈良智弁学園のイニシャルCの一文字が浮かぶ。
9時、選抜高校野球の入場行進が始まる。
常連校に混じって釜石、長田、小豆島、21世紀枠の見慣れない学校が行進する。
センバツの開会式をライトスタンドで見る。
2011年から6年間 続いている我が家の恒例行事。
あの年、どうしてそんな気分になったかは忘れてしまった。
3.11から2週間も経っていなかった。
重苦しい自粛の同調圧力が日本を覆っていた。
開催は決まったが入場行進は自粛させられた。
当時の日記を読むとかなり複雑な気持ちだったことがわかる。
肯定、感動、疑問、否定 様々な感情が入り乱れていた。
大会歌の「今ありて」の歌詞に心震わせている。
あれは何だったのか?
あの時に感じたことが本物である。
風化したあとの今の印象でものをかんがえてはいけない。
(池澤夏樹「春を恨んだりしない」)
あれ以来、自分の中であのときの感情が確実に風化していくのを自覚している。
あの時に感じたこと、が本物なら、もう一度、読み返してみよう。
大会歌「今ありて」を聞いても、あのとき感じたことは蘇ってこない。
新しい季節(とき)のはじめに 新しい人が集いて
頬(ほほ)そめる胸のたかぶり 声高(こわだか)な夢の語らい
歌詞を聞いて目頭が熱くなった記憶だけが刻まれている。
どこか空しく出来の悪いメッセージ「がんばろう!日本」
僕にとって3.11を思い出すのは3.11当日よりもセンバツの開会式のような気がする。
今年も引率してきた。
2011年3月、あのときは民主党政権だった。
首相は菅直人から8月に野田佳彦に交替した。
そして、民主党はなぜか2012年12月に自爆、総選挙で敗れ、戦後最悪の政権が誕生した。
以来、何も解決しないまま良くないことが加速度を増して進行していく。
3.11でスイッチの入った時限爆弾は確実に破滅に向かっているような気がしてならない。
いま、あの時の政権政党の名前も消えてしまった。
18日に放送された報道ステーションの特集がYou-Tubeにアップされていた。
<ヒットラーの言葉>
独裁=決断できる政治 戦争の準備=平和と安全の確保
<ヘルマン・ゲーリング(ヒットラーの腹心)の言葉>
国民は指導者たちの意のままになるそれは簡単なことで
自分たちが外国から攻撃されていると説明するだけでいい。
平和主義者に対しては愛国心が無く国家を危険にさらす人々だと批判すればいいだけのことだ」
今後はこういう主張も“自粛”させられるのか。
「知らなかった」「まさか、そんなことまで」では済まされない。
「いいや、あなたたちは知っていた」の言葉に怯えている。
午後、もういちど甲子園に舞い戻る。
その道すがら、マンションの植え込みにユキヤナギが繁茂していた。
春を謳歌するように猛っていた。
ライトスタンドで吉兵衛で買ってきたカツ丼小を食べながら滋賀学園と桐生第一の試合を観戦。
開会式の時にあった雲は消えて澄み切った青空、山からの風が強く冷えこむ。
夕方、ライトスタンドは日陰になり寒い。
早々に退散する。
きょうは運動せず。
白鷹の新酒 無濾過純米生原酒「宮水の郷」を飲む。
今年はかなりフルーティーで香りがある。
毎年、少しずつ違うのが面白い。
世界ジュニアで本田真凛(まりん)がフリーで逆転して優勝。
直接会ったことは無いが編集でラッシュを見ているので応援したくなる。
この娘は素のルックスだけでなく表情がいい。
女性でも男性でも顔の造りと同じくらいに表情や話し方の印象って強いと思う。
人は、話す内容よりも、話し方、口調の方に反応する。
それにしても優勝候補だったロシア勢が棄権した。
もしかして…メルドニウム検出を避けるため?