ラグビーワールドカップが終わって1週間が過ぎた。
花園で3試合、神戸で2試合、テレビ中継をリアルタイムで15試合ほど観た。(録画でなく)
つい昨日もBS1のハイライト番組や一週間前の決勝をオンデマンドで見返した。
9月後半から約2ヶ月間、楽しい思いをした。
想像以上だったのは日本にこんな沢山の外国人が来たということ。
彼らが神戸や東花園の大コンビニ前で大挙してビールを飲んでいた図は我が目を疑った。
ある意味、日本にいながらにして外国旅行してるみたいで楽しかった。
ラグビーについて書かれた読み物を読むのも二度おいしい。
ライターはこんなところまで見ていたのかと再発見したり。
眼鏡堂氏、藤島大氏、カメラマンの近藤篤氏、英紙ガーディアンの記者らの記事、
傍見楼日乗や楕円形萬週報などのベテランウォッチャーらのブログも含め十二分に楽しんだ。
同じ80分でもこんな濃密な時間だったのだと選手ではなく書き手に感動したり。
日本大会は成功したか否か、が大手メディアの命題であるようだがあまり関心がない。
ただ、日本人のおもてなし最高!とか、ジャパンありがとうの感動の押し売りには辟易した。
ラグビーワールドカップに関するあらゆる出来事を賛美し感動して当然、しない奴は非国民
(とまでは言ってないけど)というある種 大政翼賛の空気が漂ってたのを感じてしまった。
国内向けメディアが「日本のおもてなし最高!」「ニッポン人サイコー!」って外国人が言ってるよ
と毎日のように報じるのはちょっと恥ずかしい。
自画自賛もほどほどに。
それを控えるのが日本の美徳だと思ってたんだけどなあ。
これも国際化グローバル化なんでしょうか。
きょう9日、Numberの総集編ムックが発売されてたのに書店で買い忘れた。
9時過ぎに近所のセブンイレブンを3つ回ったけど売ってなかった。
読みたかったので電子版で購入して、スコッチウイスキーを飲みながら読む。
眼鏡堂氏(生島淳)の「ジェイミー・ジャパン 地図のない冒険」が秀逸。
エディーとジェイミーとのアプローチの分析はエディーウォッチャーならではのグッジョブ。
カメラマンの近藤氏のフォトエッセイ「楕円球の幸福」もいい。
「なんでラグビーはこんな試合でも手を抜かないでやるの?」
熊谷ラグビー場でアルゼンチン対アメリカの試合を見た近藤氏は藤島大氏に尋ねた。
ともに予選プール敗退が決まっていたにも関わらず100%ガチンコ勝負を目の当たりにしたからだ。
大ちゃんは微笑んでものすごい分かりやすい答えを発した。
「うーん、気を抜いてプレーしていると死んじゃうから、からかな」
これにはヒロと、だよねえ、と納得した。
近藤氏は元々サッカーメインのカメラマン、目線が面白い。
同じく金子氏もサッカー目線でワールドカップを描いた。
おととい眼鏡堂氏と飲んだときに話題になったのが、作家の塩田武士氏のNumberのコラムだ。
フルタイムラグビーウォッチャーを自称する楕円形萬週報の主も引用し、その知見に感心する。
恥ずかしながら初めてのスタジアム観戦となった私だが、完全にラグビーにハマってしまった
(中略)シンプルに人間の身体能力の醍醐味を楽しめる一方で、数多くのルールが存在する。
私も初めはペナルティを覚えきれないと敬遠していたが、
むしろそのルールの多さが場面展開の豊かさを演出していることに気づいた。
後ろにしかパスが出せないからこそ、キックの例外が活きる。(後略)」
(『楕円形の約束』塩田武士)
ワールドカップで起こったことはすべて賛美、というのはやはり違和感がある。
決勝のあとのイングランドのメダル外しの振る舞いはやっぱり残念としか言いようがない。
見ていて、なんだよう、と心でつぶやいた。
採点競技でもないし、審判に不平があるわけでもなさそうだし。
サッカーのワールドカップでも観たことがない。
正直、幼いな、子供だなと思った。
エディー・ジョーンズも外してた。
会見で「なぜこうなったかはわからない」と困惑を隠さなかった。
折しもエディー関連の本や記事を誰よりも多く書いた眼鏡堂氏がNumber Web にアップした。
イングランドはなぜ敗れたか。エディーを飲み込んだラグビーの力。 - ラグビー - Number Web
大会の総括としてイングランドやエディーを批評するのは本意ではなかったかもしれないが、
エディーウォッチャーとして、あの行動を考え分析して評し、総括とした。
擁護してもおかしくない立場だったが 、自ら“ 落とし前 ” つけた。
(落とし前は品のない表現かもしれないけど)
ワールドカップで一番意味があったのは何だろうと考える。
前回の大会で南アを破った試合後、サンデースポーツに出演した清宮氏が言った言葉を思い出す。
「ぼくは日本代表は出来る限り日本人で構成するのがいいと思ってたんですが、
昨日の試合を観て、そんな些細なことはどうでもいいと思えるようになりました。」
今回もラグビーワールドカップの日本代表チームは多人種多民族多国籍だった。
そのチームを当たり前に応援したということが嬉しい。
「そんな些細なことはどうでもいい」
世界が少しでもいい方に変わってくれたらと願う。