2019/3/18

「運び屋」@TOHOシネマ梅田アネックス

悠揚迫らざるクリント・イーストウッドが九十歳の運び屋を演じる。

程よいサスペンスと笑えるセリフやシーンの数々。

緊張と緩和、こういう映画は素晴らしい。

麻薬カルテルの刺青タコス野郎が内輪もめで一触即発の場面、

イーストウッドはおもむろに一人リップクリームを塗り始める。

爺い、なにやってんだ?(笑)

 

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原題は The Mule ミュール=ラバの意味が転じて俗語で「運び屋」。

モスコーミュールはモスクワのラバ、ラバに蹴飛ばされたくらいに効くという意味らしいです。

 

この数日、老人、しかも八十、九十越えのスーパー老人と関わることが重なった。

偶然か、無意識に求めてたのかはわからないけど。

きのう京都嵯峨野で瀬戸内寂聴さんの法話会を取材した。

寂聴さんはことし97歳になる。

 

「悪口を言われるっていうのは相手に羨ましがられてるとこがどこかにあるから言われるのよ。

 若い頃、わたしの小説をエロ小説だとさんざん悪口を言われました。

 そのとき、私もまだ仏門に入ってなかったから、そんな人たちを死んでしまえばいい、って

 呪いました。そしたらね今、みーんな死んじゃった。生き残ったのは私だけ。」

 

そりゃそうでしょ。

会場は大爆笑でした。

悔しかったらこのトシまで元気に生きてごらんとばかり。

津野海太郎「最後の読書」を読んだ。

御年八十の著者が自分の老いについて語っているエッセイ集。

LLビーンがいつのまにか高齢者向けのアパレルになっていることを知る。

若者にとって津野さんや僕らの同時代のヒーローが「歴史上の人物」になっていく話に笑った。

その本で引用された本、池内紀「すごいトシヨリBOOK」を注文してしまった。

そして今日、九十歳の実在の人物をイーストウッドが演じた映画「運び屋」を見た。

主人公イーストウッド爺さんの独り言やセリフ、悠揚迫らざる行動や好色ぶりに何度も笑った。

やっぱり人は10歳、20歳くらい先輩の話を聞いたり書いた本を読んだりするのは楽しい。

ちょっと先の未来、でもまだ少し猶予はある。

まだ今のところは大丈夫、その安心感が妙に落ち着く。

でも、老いは誰もが不可避なのだ。

だとしたら笑いをまぶしてを受け入れたい。

それは突然やってくる、かもしれないけどね。

それはそれ。

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運び屋の冒頭、デイ・リリーのコンテストに出場する。

会場にたむろする妙齢のご婦人たちに彼が言う。

「おや、フロアを間違えてませんか?美女コンテストは3階ですよ。ハハハハハ 」

高田純次か。

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「絶対に年寄りだと思わないこと」 が若さの秘訣だ。(クリント・イーストウッド)

エンディングに静かな曲が流れる。

 

老いを迎え入れるな
もう少し生きたいから
老いに身をゆだねるな
ドアをノックされても
ずっと分かっていた
いつか終わりが来ると
立ち上がって外に出よう

老いを迎え入れるな
数え切れぬ歳月を生きて
疲れきって衰えたこの体
年齢などどうでもいい
生まれた日を知らないのなら
妻に愛をささげよう
友人たちのそばにいよう
日暮れにはワインを乾杯しよう

老いを迎え入れるな
数え切れぬ歳月を生きて
疲れきって衰えたこの体
年齢などどうでもいい
生まれた日を知らないのなら
老いが馬でやって来て
冷たい風を感じたなら
窓から見て微笑みかけよう

老いを迎え入れるな
窓から見て微笑みかけよう
まだ老いを迎え入れるな

 

◎「Don’t let the old man in」歌詞和訳
Written and performed by Toby Keith Courtesy of Show Dog Nashville

 

www.youtube.com

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